髄鞘形成と伝導速度がもたらすメリット
ヒトの脳は巨大な電気ネットワークとみなすことができます。電気信号が神経回路を走り、認知・運動・感情などすべての機能を支えています。この高速ネットワークを可能にしているのが髄鞘(ミエリン)です。
絶縁
電線が金属だけだと、電荷は距離が長くなるにつれて減衰し、外部から触れられるとさらに漏れます。そのため、エンジニアは電線を絶縁体で覆い、電流のロスを防ぎます。神経でも同様に、軸索はミエリンという絶縁層で覆われています。
神経信号
脳内の電気信号は、樹状突起と軸索からなる神経細胞を通って伝わります。樹状突起は情報の受信・送信を行う枝状の構造で、シナプスを介して他の神経と接続します。軸索はこれらの樹状突起を結び、電気インパルスが走る「配線」の役割を果たします。
ミエリン鞘
ミエリン鞘は軸索を覆う断続的な絶縁層で、電気インパルスが周囲の神経からの干渉を受けずに伝わるよう保護します。また、絶縁によりインパルスの伝導速度が大幅に向上し、情報処理が迅速になります。
脱髄による問題
ミエリンが損なわれると、信号伝導が遅くなり、脳機能が低下します。これが多発性硬化症やパーキンソン病、アルツハイマー病などの神経疾患の原因となります。健全なミエリンは高速な情報伝達を支え、コンピュータの高速プロセッサと同様に脳のパフォーマンスを向上させます。
