側頭葉の機能と役割
はじめに
ヒトの脳は数十億個の神経細胞で構成され、思考・運動・感覚・感情を制御します。脳は大脳、小脳、脳幹の三部に分かれ、最大の大脳は左右半球に分かれ、前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉の四つの葉から成ります。側頭葉は耳の付近に位置し、記憶・聴覚入力・言語・人格に重要な役割を果たします。
記憶
左側頭葉の損傷は音声言葉の記憶を、右側頭葉の損傷は非言語的記憶(絵・顔・音楽)を障害します。また、側頭葉内の内側側頭葉が損傷すると新しい事実や出来事を記憶できない前向性健忘(前向性記憶障害)を引き起こします。
言語
左側頭葉は言語の理解と記憶に不可欠です。左側頭葉が損傷すると、話す言葉は意味が通らず、本人は自分の発話が正しいと信じるウェルニッケ失語が現れます。一方、右側頭葉の損傷は抑制のない会話、いわゆる多弁症を引き起こすことがあります。
聴覚
側頭葉の聴覚野が損傷すると、音や言葉、音楽を認識できない聴覚失認が生じます。左側の損傷は言語音の理解障害、右側の損傷は音楽認識障害をもたらします。
人格・感情
側頭葉、とくに感情を司る領域が損傷すると人格に顕著な変化が現れます。右側頭葉の損傷は攻撃性や偏執的傾向、宗教への執着、自己中心性を強めることがあります。また、側頭葉発作は性的衝動の増加を伴うことがあります。
視覚情報の処理
側頭葉は視覚情報の記憶にも関与します。損傷により視覚的内容の記憶が困難になり、特に右側頭葉の特定部位が損傷すると顔を認識できなくなる失顔症(プロソパグノシア)を引き起こします。
