子どもへのメディア暴力がもたらす心理的影響

メディアにおける暴力表現は、子どもの行動に影響を与えるだけでなく、感情や心理面でも深刻な影響を及ぼすことが指摘されています。ここでは、暴力的なメディアが子どもに与える主な心理的影響を解説します。

無関心(アパシー)

無関心とは、さまざまな事柄に対して興味や関心が薄れる心理状態を指します。商業広告のない子ども育成キャンペーンは、暴力メディアが子どもの感情的な鈍感化を招くと述べています。実際、ニュースでの悲劇的な出来事に対しても、感情的な反応がほとんど見られなくなることがあります。コミュニケーション学のジョアン・カントール博士は、こうした感情の鈍感化が同級生間の暴力を報告するまでに時間がかかるだけでなく、家庭内暴力の被害者への同情心が低下すると指摘しています。

不安感の増大

メディア暴力に頻繁にさらされた子どもは、そうでない子どもに比べて不安感が高まる傾向があります。カントール博士によれば、メディアとコミュニケーションの心理学の権威として、テレビでの暴力量が多いほど不安や抑うつ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に類似した症状が現れるとしています。1998年にオハイオ州の8〜13歳の子ども2,000人以上を対象に実施された調査では、週あたりの視聴時間が長い子どもほど心理的外傷症状が顕著であることが報告されています。具体例として、子ども時代に映画『ジョーズ』を観たことで海を恐れるようになったり、映画『イット』を観たことでピエロ恐怖症になるケースが挙げられます。

世界への恐怖的な認知(Mean World Syndrome)

メディア暴力への過剰曝露は、子どもが「世界は危険である」という誤った認識を持つ原因となります。これは『Mean World Syndrome(危険な世界症候群)』と呼ばれ、テレビで頻繁に暴力が描かれることで、子どもは実際の社会を過度に脅威的に捉えるようになります。2000年に開催された米国議会公衆衛生サミットで、米小児科学会をはじめとする医療団体は、メディア暴力の過剰曝露が子どもに「いつでも暴力の被害に遭うかもしれない」という不安を植え付け、他者への不信感や警戒心を高めると警告しました。

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