ロッターの社会的学習理論:基本概念と応用

米国の心理学者ジュリアン・B・ロッターが提唱した社会的学習理論は、フロイトの欲動に基づく精神分析への反発として生まれました。ロッターは人格や行動は個人と環境の相互作用の産物であると考えました。

基本概念

ロッターの理論は、環境(外的刺激)に対する学習と経験の総和としての「個人」を前提に、人格を固定されたものではなく、外的状況に応じて選択可能な行動の集合と捉えます。主な要素は以下の四つです。

  • 行動潜在性(Behavior Potential):特定の刺激に対してどの行動を選択するかの可能性。経験がその行動を強化すれば、潜在性は高まります。
  • 強化価値(Reinforcement Value):ある結果がどれだけ望ましいかの評価。最小限の肯定的結果を「最小目標」と呼び、それ以上は成功、以下は失敗とみなします。
  • 期待(Expectancy):ある行動が望ましい結果をもたらす確率の主観的評価。期待と強化価値が高いほど、行動潜在性も高くなります。
  • 心理的状況(Psychological Situation):期待と強化価値の主観的合成で、ロッターはこれを次の式で表しました。
    BP = f(E + RV)

治療への応用

ロッターは、行動は本能ではなく学習によって形成されると主張し、教育的な師弟関係をモデルにした治療法を提案しました。この考え方は、現代の認知行動療法(CBT)の根底にあり、学習経験を通じて行動を変容させるアプローチとして実践されています。

メンタルヘルス(一般) - 関連記事