DSM‑IV‑TR における軸 I の活用方法
DSM‑IV‑TR の概要と軸 I の位置付け
米国精神医学会が 2000 年に出版した『診断と統計マニュアル 第4版・テキスト改訂版(DSM‑IV‑TR)』は、精神保健専門家が障害を診断する際に使用する標準マニュアルです。DSM‑IV‑TR は 5 つの軸で構成され、軸 I は人格障害や知的障害を除く臨床障害を分類します。
軸 I を用いた診断の手順
ステップ 1: 軸 I 障害と診断基準を把握する
クライアントごとに DSM‑IV‑TR 全巻を読むのは現実的ではありません。各障害とその基準の概要を事前に学んでおくことで、診断が迅速かつ正確になります。
ステップ 2: クライアントの症状を評価する
通常、心理社会的評価を実施し、気分・不安症状、衝動的行動、思考様式、虐待やトラウマの既往、家族歴などを聴取します。この情報が軸 I の診断に重要な手がかりとなります。
ステップ 3: 評価結果をもとに症候を抽出する
聴取した情報から、出現している症状や診断基準を特定します。例として、集中困難・入眠困難・イライラは、気分障害、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、不安障害のいずれかを示唆する可能性があります。
ステップ 4: 該当する軸 I 障害を検討する
抽出した症候に合致する障害を DSM‑IV‑TR の基準と照らし合わせ、最も適切な診断を選びます。鑑別診断の項目を確認し、必要に応じて複数の診断を併用します。
ステップ 5: 必要なスペシファイアを決定する
多くの診断には、症状のタイプや重症度を示すスペシファイアがあります。たとえば ADHD では「混合型」「主に不注意型」「主に多動性・衝動型」などがあります。DSM‑IV‑TR の基準を参照し、適切なスペシファイアを付与してください。
