体性マーカーとは何か?
体性マーカー仮説
ダマシオは、側坐核系(感情を司る脳領域)に損傷を受けた被験者を調査しました。知能や言語能力は正常でも、判断ミスや社会的な不適切行動を繰り返すことが分かりました。これは、感情が損なわれ体性マーカーが機能しないため、合理的判断が阻害されることを示す証拠です。
側坐核系に損傷がない人
側坐核系が正常な人は、直感的(いわゆる『腸の感覚』)な反応を示します。例えば、犬に噛まれた経験があると、痛みの記憶が体性マーカーとして働き、次に犬を見たときに無意識に恐怖が湧き上がります。この負の体性マーカーが繰り返し強化されると、警告音のように機能し、危険を回避させます。
前頭前皮質に損傷がある場合
感情中枢である前頭前皮質が損傷すると、体性マーカーが適切に発動せず、判断力や社会的行動が著しく低下します。たとえば、過去の食事経験を思い出せず、レストラン選びができないといった状況です。ダマシオは、日常的な意思決定に体性マーカーが活性化できないことが、良い選択と悪い選択の区別を困難にすると指摘しています。
仮説の妥当性の証拠
体性マーカーは、ネガティブな反応を抑制し、ポジティブな行動へと導く自動的なシグナルです。体性マーカーを司る脳部位が損傷すると、判断に誤りが生じることが実験で示されました。これにより、感情と合理的思考が切り離せない関係にあることが裏付けられました。
