日常生活活動(ADL)と手段的日常生活活動(IADL)の概要とLawton尺度の解説
日常生活活動(Activities of Daily Living, ADL)は、居住環境内で自立した人が自分で行える基本的なセルフケアのことです。主なADLには、個人の衛生管理、身だしなみ、着脱、排尿・排便のコントロールが含まれます。一方、手段的日常生活活動(Instrumental Activities of Daily Living, IADL)は、社会生活を送る上で必要な、やや高度な活動です。IADLには、家事、食事の準備、薬の服用管理、金銭管理、買い物、電話や各種テクノロジーの利用などが挙げられます。
Lawton 手段的日常生活活動尺度(Lawton IADL Scale)
この尺度は、地域で生活する高齢者の自立度を評価するために開発されました。食事の準備や電話の使用といった基本的な日常活動の実施能力を測定します。質問は書面または口頭で行われ、回答は「0(できない/部分的にできる)」から「1(できる」までの二段階です。得点が高いほど、本人の自立度が高いことを示します。
目的
Lawton尺度は医療現場で重要な役割を果たします。高齢者がどの程度自立して生活できるかの客観的データを提供し、リハビリテーションの必要性や在宅ケアの計画立案の根拠となります。また、医療従事者が個々の能力に焦点を当て、適切なサービスを選定するのに役立ち、健康状態の改善や悪化を把握することができます。
対象者
この尺度は、地域や病院で生活する高齢者を対象に使用されます。長期入所施設にいるような、他者の介護に全面的に依存している成人には適用しません。
長所と限界
Lawton尺度は、自己報告式で簡便に高齢者の機能レベルを評価できる点が長所です。一方、自己評価に頼るため、能力を過大評価したり過小評価したりするバイアスが生じやすく、実際の作業遂行状況を観察できない点で客観性に欠けます。また、機能の微小な変化を捉える感度が低いという限界があります。
