食物連鎖が途切れたら何が起きるか

食物連鎖(食物網)の用語

米国自然史博物館の保全・生物多様性センター(CBC)は、かつて「食物連鎖」と呼ばれた単純な摂食関係は現在は科学者に好まれないと指摘しています。生物多様性が高い共同体における複雑な摂食パターンは「食物網」と呼ばれ、研究者はこれを「トロフィック(栄養階層)」という形容詞で表現します。例えば、キツネはコマドリとその卵を捕食し、コマドリはミミズを食べるというトロフィック関係があります。

生態系においては「キーストーン種」が重要です。捕食者であることが多く、たとえ個体数が少なくても食物網全体に大きな影響を与えます。イエローストーン国立公園でオオカミが再導入された結果、エルクの数が減少し、柳やカツラの木が回復、結果として渡り鳥の生息地が復活しました。

種の消失がもたらす影響

CBCは、海岸の海藻林(ケルプ)生態系を例に、海獺(ラッコ)の有無で生態系がどう変わるかを示しました。ラッコは海胆を捕食し、海胆が過剰に増えるとケルプが食べ尽くされて枯れます。ラッコがいると海胆は抑制され、ケルプ林は繁栄します。しかし、オルカがラッコを捕食し始め、ラッコの個体数が減少すると、海胆が暴走し、ケルプが枯れた荒れ地となります。

連鎖的絶滅(カスケード)

『Animal Ecology』に掲載された研究者アンナ・エクロフとボー・エーベンマンは、ある種が生態系から失われると「二次的絶滅」の連鎖が起こると述べています。単純なコミュニティほど種の喪失に脆弱で、底層からの「下方効果」により、食べ物がなくなった消費者が死滅します。例として、気候変動で森林が拡大し、低木が日光を遮って下層植物が死滅。その植物を食べていたマンモスが餌を失い絶滅したケースがあります。

早期警告シグナル

S.R. カーペンター率いる研究チームは、統計手法で生態系が崩壊に向かう初期サインを検出できることを実証しました。例えば、ある種の回復速度(事象後の個体数回復率)を時間とともに測定し、減速や加速の変化を追跡します。

2011年に『Science』に掲載されたこの研究は、コミュニティの破綻が水資源、魚類、森林、放牧地といった重要資源に大規模な影響を及ぼす可能性があることを示唆しています。

環境衛生 - 関連記事