洗剤からリン酸塩がなくなった理由とその影響
背景と基本情報
リン酸は植物や動物にとって必須の元素で、重要な栄養素です。しかし、濃度が高くなると人や動物にとっては有害となります。農場から流出したリン酸は河川や湖沼に蓄積し、藻類の異常増殖(藻類ブルーム)を引き起こし、水中の酸素を奪います。また、過剰なリン酸は消化器系の問題を引き起こすことがあります。
法律の経緯
1990年代に、洗濯用洗剤からリン酸の使用は自主的に廃止されました。2010年7月、米国の16州で食器洗い機用洗剤に含まれるリン酸の上限を0.5%に設定する法律が施行されました(従来は8.7%)。この措置を受け、米国清掃協会(旧ソープ&デタージェント協会)は、商業用食器洗い機を除き、すべての食器洗い機用洗剤のリン酸含有量を0.5%以下に統一することに合意しました。
水路への影響
リン酸が河川や湖に流入すると、水が濁り臭みが発生し、泳げない状態になります。リン酸は藻類の成長を促進し、富栄養化(ユートロフィケーション)を加速させます。富栄養化が進むと、死んだ藻類や有機物が堆積し、最終的に水体が干上がることがあります。
人への影響
水路への影響に加えて、リン酸は飲料水の味にも影響を与えることがあります。リン酸濃度が低いほど、水処理施設の処理コストや時間が削減できます。また、リン酸を含む洗剤の使用を減らすことで、皮膚のかゆみや喉の痛み、呼吸器症状といった健康問題が減少するという報告もあります。
洗浄科学とリン酸の役割
洗剤に含まれるリン酸は、汚れの粒子を浮遊させて洗浄を助け、泡立ちを向上させます。さらに、石鹸カスの付着を防ぎます。しかし、リン酸含有量を低減した製品は、使用後の食器が曇りやフィルムが残る、洗浄効果が低いといった消費者からの評価が低くなる傾向があります。
