石炭の採掘
石炭採掘は、坑道崩落や埋蔵坑の地盤沈下といった直接的な危険を伴います。採掘が終了した後でも、地下が崩れ地表が陥没するケースが報告されています。また、石炭に含まれるメタンは温室効果ガスであり、採掘時に大気中へ放出されます。さらに、鉱山が閉鎖された後も、地下水が硫黄鉄鉱(ピリート)を溶かし出し、土壌や地下水を汚染し続けます。採掘現場での火災も問題で、米国だけでも9州で100件以上の地下火災が発生し、何十年も煙を放出し続けています。
石炭の利用と処理
採掘された石炭はまず洗浄されますが、鉱石の約半分は燃焼できない鉄硫化物などの不純物です。洗浄には大量の水が使われ、その水は酸性化して人・動植物に有害となります。燃焼時には二酸化炭素だけでなく、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)といった温室効果ガスも大量に排出されます。
「クリーン石炭」の実態
米国のクリーン石炭電力連合は、2008年の大統領選挙で「クリーン石炭」を掲げましたが、実際には炭素回収・地下貯蔵の技術的・経済的ハードルは極めて高く、実用化は困難です。たとえ回収が可能でも、採掘・洗浄過程での汚染は依然として残ります。
健康への影響
石炭採掘は周辺住民の健康にも深刻な影響を与えます。例として、2009年12月22日にテネシー・バレーで発生したダム決壊により、約1.1億ガロン(約4億リットル)の水と石炭灰が流出し、数百エーカーの土地が汚染、住宅が破壊され、飲料水が有害物質で汚染されました。米国ワシントン州立大学(2001年)の調査では、ウェストバージニア州の採掘コミュニティで、腎臓病リスクが70%増、慢性閉塞性肺疾患(COPD)リスクが64%増、高血圧リスクが30%増加していることが報告されています。
