化石燃料に含まれる金属元素と環境への影響
毒性
石炭や原油、燃料油には、二酸化硫黄、窒素酸化物、二酸化炭素に加えて、水銀やセレンなど、50〜80種類もの金属元素が含まれています。特に水銀やセレンは極めて毒性が高く、燃焼時にガス状で放出されます。
石炭に含まれる放射性元素
石炭はアルミニウム、鉄、硫黄などの不純物を多く含み、燃焼に伴いウランやトリウムといった放射性金属も放出します。オークリッジ国立研究所の調査によれば、1978年に石炭火力発電所近隣に住む人々は、原子力発電所近隣の住民よりも高い放射線量を受けていたとされています。
無機元素
化石燃料の燃焼で放出される微量元素には、水銀、ヒ素、ニッケル、クロムなどがあります。米国で1994〜1995年に排出された水銀は推定で159トンに上ります。石油系燃料の燃焼では、ヒ素、クロム、ニッケル、バナジウムが問題となり、特にクロムとニッケルは強い発がん性を持ちます。石炭中には、石英、頁岩、カオリン、硫化物、炭酸塩、塩化物などの無機物質も含まれます。
クリア・スカイズ・イニシアチブ
1995年に全世界で約5,500トンの水銀が排出されましたが、以降は使用削減により減少しています。2002年にブッシュ政権が発表した「クリア・スカイズ・イニシアチブ」では、2010年に水銀排出量を45%削減、2018年に70%削減する2段階の目標が設定されました。この計画は世界初の大規模な水銀削減策ですが、二酸化炭素の削減にはほとんど効果がありません。
まとめ
化石燃料の燃焼は金属元素や放射性物質の大気放出を引き起こし、環境と人間の健康に深刻なリスクをもたらします。政策による排出削減は一定の効果がありますが、根本的な温室効果ガス削減にはさらなる取り組みが必要です。
