産業廃棄物がもたらす健康への悪影響

製造施設から排出される産業廃棄物は、河川や埋立地に大量に蓄積されます。これらの廃棄物は土壌・水・大気を通じて環境中に浸出し、人間や野生動物の健康に深刻な影響を及ぼします。産業廃棄物への曝露は、罹患率や死亡率の上昇と関連しています。

産業廃棄物とがんの発生率

複数の研究で、産業廃棄物への曝露とがんの発生率に相関があることが示されています。例として、2011年1月にイタリアの学術誌『Tumori』に掲載された研究では、イタリア・プラート市の男性住民を対象に、下水処理施設からの距離を指標に肺がん発生率を比較しました。その結果、工場から1.5km以内に住む男性の肺がん率が有意に高いことが明らかになりました。

内分泌かく乱化合物(EDC)

内分泌かく乱化合物(EDC)は、体内ホルモンの働きを模倣したり阻害したりする汚染物質です。『Reproduction, Fertility and Development』2011年3月号の研究では、ジオキシン、多環芳香族炭化水素、農薬、重金属などが産業廃棄物中に含まれるEDCとして特定されました。これらの化合物は、精子数の減少、流産、不妊、子宮内膜症(がん細胞に似た増殖を示す)といった生殖機能障害を引き起こすことが報告されています。

産業埋立地からの排液

2011年5月に『Environmental Research』に掲載された調査では、産業埋立地からの水漏れ(排液)の毒性が評価されました。研究者は、排液を肝臓がん細胞(ヘパトーマ)に曝露させた結果、細胞増殖の阻害や高用量での強い毒性を確認しました。また、淡水魚や哺乳類に対する健康リスクも指摘されています。

産業大気汚染

産業施設から排出される大気汚染物質も人・動物の健康に脅威を与えます。『Journal of Environmental Science -- China』に掲載された研究では、石油化学、陶磁器、金属精錬工場周辺の松葉に含まれる重金属と多環芳香族炭化水素の濃度を測定しました。その結果、工場近傍の松葉は遠隔地に比べてこれらの汚染物質がはるかに高いことが分かり、空気中の汚染レベルの指標として有用であると結論付けられました。

環境衛生 - 関連記事