市販ドライクリーナーの危険性
ドライクリーニングは水ではなく、様々な溶剤を使用して衣類や繊維を洗浄します。主な溶剤にはパークロロエチレン(通称「パーク」)、石油ナフサ、過酸化水素、酢酸、ミネラルスピリッツ、アンモニアなどの塩素系溶剤が含まれます。これらの化学物質は、従業員や利用者、近隣住民に対して化学曝露や火災などの危険をもたらします。
パークロロエチレン
パークロロエチレンは、米国労働安全衛生局(OSHA)が「潜在的発がん性物質」と位置付ける、最も一般的に使用されるドライクリーニング溶剤です。吸入、皮膚接触、目への接触により、目・喉・鼻の刺激、肝臓・腎臓障害、中枢神経抑制、記憶障害、混乱、頭痛、めまい、眠気など多様な症状が現れます。繰り返し皮膚に触れると皮膚炎を引き起こすことがあります。
有害廃棄物と排水
商業用ドライクリーニング店では、パークロロエチレンを含む廃棄物が大量に発生します。使用済みカートリッジ、リントトラップの汚れ、底部残留物、加熱後の粉末残渣などが該当し、未使用のパークロロエチレンを処分する必要が生じることもあります。排水は「セパレータウォーター」と呼ばれ、パークロロエチレンが混入しています。
火災リスク
ドライクリーニング店では、摩擦や静電気による火花が発生しやすく、可燃性の衣類や溶剤、蓄積したリントと接触すると大きな火災につながります。また、店内での喫煙は重大な火災危険となります。
住宅への影響
ドライクリーニング工程中に発生するパークロロエチレン蒸気は、空気中に放出され近隣の建物へも拡散します。蒸気は壁・天井・床を通り抜け、同居ビルや住宅に住む人々が吸入・皮膚吸収するリスクがあります。高濃度のパークロロエチレンはがんリスクを高めるとされ、特に同一建物内に店舗と住宅が併設されている「共同設置」型店舗で問題が顕著です。
環境への影響
廃棄処理過程でパークロロエチレンは土壌・大気・水へ流出し、植物に毒性を与え米国環境保護庁(EPA)により有害廃棄物と分類されています。屋外では数週間残存し、分解生成物の一部は有毒であり、オゾン層破壊にも寄与します。少量でも地下水や飲料水を汚染し、水生生物に有害です。
使用機器の危険
商業用ドライクリーニング施設で使用される機械は、穿刺・火傷・滑落などの事故リスクを伴います。さらに、加熱された作業環境により作業者が過熱する危険もあります。主な機器には仕上げ・プレス機、搬送コンベア、脱脂機、袋詰め装置、修理・仕立てエリア、強化冷却・換気システムなどがあります。
