代替冷媒ガスに関する最新研究まとめ

地球温暖化の深刻化と京都議定書の規制により、環境負荷の低い冷媒開発が急務となっています。1990年代以降、日本ではエアコンに使用されていたCFC・HCFCがHFCへ置き換えられましたが、HFCは温室効果ガスとして高いGWP(地球温暖化係数)を持つことが問題視されています。本稿では、近年の代表的な研究成果を日本国内外の事例とともに紹介し、代替冷媒の環境影響と実用性を検証します。

日本:R-1234-YF の時間的影響モデル化

2010年に東京で発表された研究では、大気拡散モデルを用いて次世代冷媒 R-1234‑YF とその分解生成物の日本国内における濃度推移をシミュレーションしました。住宅、商業施設、車載エアコンの3種の使用量を想定し、2011年から2047年までの影響を予測しています。結果は、直接吸入による健康影響は無視でき、O₃ と HCHO の増加率はそれぞれ約 0.005 % と 0.02 % と極めて小さいと結論付けられました。

研究者:梶原秀夫、井上和也、吉田菊夫、長尾竜一
所属機関:安全・持続可能性科学研究所(RISS)/産業技術総合研究所(AIST)
所在地:茨城県つくば市大野川16‑1
研究報告書(PDF)

パナソニック:低GWP冷媒の室内機適用試験

同じく2010年に実施されたパナソニックの試験では、低GWPと呼ばれる新世代冷媒の性能比較が行われました。対象は R‑410A、HFO‑12234yf、R‑32 と 1234yf の混合比(20/80、50/50)および単独の R‑32 です。結果として、HFO‑1234yf は圧力降下が大きく、最大コンプレッサ回転数での冷却能力が定格の約 70 %に留まるなど、R‑410A に比べて性能が劣ることが判明しました。

研究者:藤高晃、清水勉、佐藤繁浩、川辺義和
所属:パナソニック株式会社 家電事業本部
所在地:滋賀県草津市
試験結果(PDF)

EPA:蒸気利用型圧力交換冷凍システムの可能性

米国環境保護庁(EPA)は、ジョージ・ワシントン大学に対し、180,000米ドルの助成金(プロジェクト番号 R828563)を付与し、2000年10月から2005年6月までの5年間で「圧力交換(PE)冷凍システム」の開発を調査しました。自動車の排熱を利用した蒸気エジェクタ技術を評価した結果、排熱だけで車両のエアコンに必要な冷却を賄えることが確認され、PE エジェクタ冷凍は「廃熱利用型車載エアコンの有力候補」と結論付けられました。

調査責任者:Charles A. Garris Jr.
所属機関:ジョージ・ワシントン大学
EPA 担当官:Mitch Lasat

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