産業用油槽船と環境汚染の実態

産業用油槽船(油タンカー)は大量の石油を輸送するために設計された船舶です。主に原油タンカーと製品タンカーの2種類に分かれ、前者は未精製の原油を産地から輸送し、後者は精製された石油製品を製油所から市場へ運びます。年間約20億トンの石油・石油製品がタンカーで輸送されますが、過去に多数の大規模な油漏れ事故を引き起こしています。

エクソン・バルディーズ号事故(1989年)

1989年3月24日、アラスカ州プリンス・ウィリアム・サウンドのブライリーフで、油タンカーのエクソン・バルディーズ号が座礁し、約1,100万ガロン(約41,500トン)の原油が流出しました。船の11基のタンクのうち8基が損傷し、総計5,300万ガロンの原油を搭載していました。汚染は海岸線1,300マイル、海域11,000平方マイルに及び、1万1千人、1,400隻の船舶、85機の航空機が清掃作業に従事しました。

COSCOバン事故(2007年)

2007年11月、タンカーがサンフランシスコ湾に重油53,000ガロンを流出させました。調査の結果、船長の航海ミスと乗組員の監督不備が原因と判明。カリフォルニア州知事アーノルド・シュワルツェネッガーは非常事態を宣言し、州・地方当局が清掃を指揮しました。

プレステージ号事故(2002年)

2002年11月13日、プレステージ号がガリシア海岸沖で沈没し、約125トンの石油が漏出。スペインとフランスの数千キロにわたる海岸線が汚染され、漁業に甚大な被害をもたらしました。ガリシア当局の調査では、完全な生態系回復は2015年までかかる可能性があると予測されています。

トーレイ・キャニオン号事故(1967年)

1967年3月、イングランド・コーンウォール沖でスーパータンカーのトーレイ・キャニオン号が座礁し、約120,000トンの原油が流出。約15,000羽の海鳥が死亡し、多数の魚類も被害を受けました。

油漏れ防止策

二重船体(ダブルハル)構造の油槽船は、船体外側と油タンクを分離する外殻を備えており、油漏れリスクを約60%低減します。外殻が損傷しても内部の油は安全に保持されます。ただし、建造コストは単一船体船の約2億ドルに対し、3億ドル程度と高額です。

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