獣脂酸とは?

定義

獣脂酸は、脂肪酸の一種で、動物性脂肪(獣脂)から抽出されます。脂肪酸は脂肪が分解されてできる酸で、細胞のエネルギー源として利用されます。獣脂酸は、獣脂に含まれる複数の脂肪酸の総称です。

化学的製造工程

獣脂酸は「油化学(オレケミー)」と呼ばれる工程で製造されます。まず、加熱・加圧した水で獣脂を加水分解し、粗脂肪酸を得ます。続いて蒸留により不純物を除去し、必要に応じて水素添加(飽和化)を行い融点を上げます。最終的に分留により目的の炭素鎖長の脂肪酸を分離します。

主な用途

獣脂酸は石鹸(固形石鹸、ボディウォッシュ、液体ハンドソープ)に広く使用されています。その他、洗剤、柔軟剤、殺菌剤、殺虫剤、潤滑剤、水処理薬剤、顔料改質剤などにも微量が検出されています。また、食品の包装材に保存料として添加されることもあります。

研究と環境影響

獣脂酸は水生生物(魚類や植物)に対する毒性が指摘されています。2008年にカナダの環境物質リストに「低ヒト健康リスクだが、環境毒性(特に水生)疑いあり」として掲載されました。一方、2006年の米国FDAは食品添加物として「適量使用は安全」と認定しています。

安全性の考慮点

化粧品安全データベース「Skin Deep」では、獣脂酸のヒトや環境への影響に関する情報が不足していることが指摘されています。未精製の獣脂酸は人体に対して毒性がありますが、加工された形で化粧品に含まれる場合の安全性は十分に検証されていません。

分子構造

環境衛生 - 関連記事