急性放射線障害(急性放射線症候群)

急性放射線障害(急性放射線症候群)は、短時間に全身に高線量の放射線が照射されることで起こります。5 Gy(500 rem)未満の被曝でも、適切な医療処置により救命が可能です。症状は嘔吐・下痢から痙攣、感染症まで多岐にわたります。

曝露の種類

1945年の広島・長崎原爆で多くの被爆者が急性放射線症候群を発症し、これが最初に認識されたケースです。冷戦期の核実験や、1954年の「リキィ・ドラゴン」号の乗組員、1986年のチェルノブイリ事故でも急性放射線障害が報告されています。一方、医療目的の放射線治療や検査で受ける線量は、通常この症候群を引き起こすほど高くありません。

曝露量と予後

・2 Gy(200 rem)未満:ほとんどの人が自然回復します。
・2〜5 Gy(200〜500 rem):生存には医療介入が必要です。
・10 Gy(1000 rem)以上:生存の可能性は極めて低くなります。症状の出現や死亡までの時間は、数時間から数か月と幅があります。

急性放射線障害の段階

1. 初期期:悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状が現れます。
2. 潜伏期:症状が一時的に消失し、体調が回復したように見えます。
3. 再燃期:初期症状に加えて脱毛、痙攣、皮膚病変が出現し、重症例では感染や運動失調が起こります。
4. 回復期:第3期を乗り越えると徐々に回復します。

影響を受ける身体システム

心臓は比較的耐性がありますが、骨髄・白血球・幹細胞は放射線で破壊され、免疫力低下や感染リスクが高まります。胃腸粘膜の損傷により消化器症状や敗血症が起こりやすく、また中枢神経系にも血管病変や脳浮腫、神経細胞死といった深刻な障害が生じます。

治療法

症状に応じて、痙攣抑制剤、嘔吐・下痢止め、輸液・電解質補正が行われます。免疫低下に対しては抗生物質が投与され、重症例では骨髄移植や大量輸血が検討されます。

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