近親交配の長所と短所

望ましい形質の強調

近親交配の利点の一つは、特定の望ましい形質を固定しやすくなることです。農家は、毛色や体格などの目標形質を次世代に確実に伝えるため、血縁が近い個体同士を交配させます。遺伝子プールの多様性を制限することで、望ましい形質が希釈されず、世代を超えて維持されます。

望ましくない形質の顕在化

同じく遺伝子プールが狭くなると、望ましくない形質も強調されやすくなります。たとえば、乳量が低い個体が繁殖に利用されると、次世代で乳量がさらに低下するリスクがあります。こうした欠点は、劣形個体を選別して除去する(除外)ことで管理されます。

常染色体劣性遺伝子の問題

近親交配は、同一の劣性遺伝子が二つ揃う確率を高めます。その結果、貧血、鎌状赤血球症、嚢胞性線維症、糖原病などの劣性疾患が子孫に顕在化しやすくなります。

劣性遺伝子の同定と除去

ミズーリ大学農業拡張部の研究によれば、近親交配は不良劣性遺伝子の保有者を特定する手段としても利用されます。例えば、矮小症の遺伝子を持つ雄牛を多数の雌牛と交配させ、矮小症の子牛が生まれたかで保有の有無を判定します。遺伝子を持たない個体は、正常な子孫を残すことが確認できます。

集団適応度の低下

近親交配は遺伝子プールを縮小させ、同形性(ホモ接合)を増加させます。その結果、集団全体の遺伝的多様性が失われ、繁殖力の低下や死亡率の上昇といった適応度の低下が起こります。

公衆衛生 - 関連記事