過酸化水素(H2O2)の利用法
過酸化水素は、無色透明な粘性液体で、少量では透明に見えますが大量になると青みがかります。刺激臭は硝酸に似ており、皮膚に接触すると水疱を生じます。光を遮断した滑らかな容器に保管すれば比較的安定ですが、粗い表面に触れると分解が進みます。弱酸性ながら、酸性・アルカリ性のどちらの溶液でも強力な酸化剤として働き、酸素に変換すれば還元剤としても機能します。
日常生活での利用
低濃度の過酸化水素は、ヘアブリーチや歯磨き粉の原料として使用されます。また、布や衣類から血液汚れを除去したり、果物や野菜の洗浄にも活用されます。
医療分野での利用
過酸化水素は酸化作用により、創傷、歯、耳の洗浄や表面的な細菌感染の治療に長年利用されてきました。希釈した過酸化水素は口臭予防のうがい薬として使用され、ベンゾイル過酸化物と混合してにきび治療に用いられることもあります。獣医学では催吐剤として用いられます。
ロケット・推進剤としての利用
濃度85〜90%の過酸化水素は、ロケットや潜水艦、魚雷の燃料として利用されます。特定の有機物と組み合わせると非常に高い爆発性を示し、宇宙開発において重要な役割を果たしています。分解時に大量の気体が発生し、発熱が大きく、酸素供給がある環境では高速燃焼するため、衛星姿勢制御用スラスターの推進剤としても適しています。
産業用途
過酸化水素は髪、藁、羊毛、繊維、脂肪、皮革、象牙などの漂白に使用されます。その強力な酸化作用が漂白効果をもたらし、商業名「パーハイドロール」で販売されています。また、黒く変色した鉛絵の色復元にも利用されます。
園芸での利用
園芸においても多用途で、弱い過酸化水素溶液(「スペイン水」)を土壌に散布すると根系の発育が促進され、さまざまな植物病害の防除に効果があります。
