鉄と鋼の特性

鉄の物理的性質

純粋な鉄は灰白色の柔らかい金属で、融点は1,528℃、沸点は2,735℃です。可鍛性・延性に優れ、急冷しても硬化しません。金属の中で最も磁性が強く、高温でも磁性はほとんど変化しません。また、熱と電気の伝導率も高いです。

鋼の物理的性質

鋼は炭素と鉄を特定の比率で合金化した材料で、炭素含有量は0.2~2.14%です。炭素だけでなく、マンガン、クロム、タングステン、バナジウムなども添加されます。鋼は高強度・軽量・耐久性・靭性に優れ、腐食にも強いのが特徴です。水や油に触れると急速に冷却でき、鉄と異なり錆びにくい性質があります。

鉄の同素体形態

純鉄は温度に応じて3つの同素体(結晶構造)を取ります。

  • α鉄(α‑フェライト):768℃以下で安定。純鉄鋳造物の主成分で、炭素含有量は0.10~0.25%。軟らかく強磁性。
  • γ鉄(γ‑フェライト):906~1,404℃の範囲で安定。硬く、磁性はなし。
  • δ鉄(δ‑フェライト):1,400℃以下で安定。非磁性。

鋼の等級

鋼は硬度・組成・機械的特性に基づき、各種規格団体が等級を定めています。炭素含有量が高いほど硬度は上がりますが、品質の高い鋼は炭素を低く抑え、割れにくい特性を持ちます。

鉄の化学的性質

純鉄は常温の乾燥空気や純水に対してはほとんど反応しませんが、商業用鉄は湿潤環境で錆びます。加熱すると水素、窒素、一酸化炭素を放出し、酸素中で燃焼すると明るく燃え、硫黄とも燃焼します。赤熱状態で蒸気と反応し水素を生成するため、工業的に水素製造に利用されます。

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