電子医療記録(EMR)の要件

EMRは個人の医療記録をデジタル化したものです。EHRと同義で、米国では2006年以前は導入率が低く、現在でも病院の約10%、医師の約16%が利用しています。本稿ではEMRの要件と導入における課題を検討します。

EMRの歴史

1960年代、ローレンス・L・ウィード博士が医療記録の自動化という概念を提唱しました。これを基にバーモント大学が医師の協力のもとプロジェクトを開始し、患者データを迅速に提供し、疫学調査や医療・業務監査に活用することを目指しました。1960年代後半にはメイヨークリニックでも同様のEMRプログラムが開発され、1970年にバーモント大学病院で医療情報の送信に初めて利用されました。

EMRで扱われる情報

EMRの推進者は、病院、救急車、医師、その他の医療従事者がインターネット上で個別の医療情報にアクセスできる高度に統合されたシステムを目指しています。共有されるデータは、患者の診療履歴、人口統計情報、予防接種情報、画像診断、検査結果、請求情報など多岐にわたります。

EMR導入の障壁(2006年の挫折)

2006年、米国上院議員テッド・ケネディ(マサチューセッツ州)とマイク・エンジ(ワイオミング州)が「Wired for Health Quality Act」というEMR関連法案を提出しましたが、費用問題で下院で却下されました。ジョージ・W・ブッシュ大統領はEMRへの関心を喚起しましたが、彼の政権下では法制化は実現しませんでした。

オバマ政権下での展望

オバマ大統領は情報技術が教育や医療の改革を支えると繰り返し述べ、刺激策の中でEMR関連の研究資金を拡充しました。具体的な政策はまだ明確ではありませんが、今後の実装に向けた期待は高まっています。

米国におけるEHR普及の遅れ要因

「相互運用性」の欠如が最大の課題です。EMRが機能するためには、異なるソフトウェア間でデータをやり取りできる必要があります。医療機関間のデータ共有や国境を越えた通信が障壁となり、医師の収益減少や情報共有へのインセンティブ不足、セキュリティ・プライバシーへの懸念も導入を遅らせています。

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