股関節全置換術の回復ガイド

股関節全置換術は生活を大きく変える手術です。術後は理学療法や生活様式の見直しが必要で、回復は本人の努力にかかっています。手術前に回復に向けた準備を整えておくと、日常生活への復帰がスムーズになります。

バスルームの準備

  • トイレの座面が低すぎると股関節に負担がかかります。高さ4インチ(約10cm)のトイレシートを取り付け、膝を曲げすぎないようにしましょう。

    シャワーは歩行式のものが最適です。バスタブや椅子が必要な場合は、座って洗えるようにシャワーチェアを用意します。ハンドヘルドのシャワーヘッドを取り付け、タオルやシャンプーは手の届く位置に置き、体を曲げたりねじったりしないようにします。

寝室の整備

  • ベッドサイドに折りたたみテーブルを置き、日常的に必要なものをまとめておきます。トイレタリー、書籍、薬、スマートフォンやノートパソコンを入れたバスケットを用意し、すぐに手が届くようにしましょう。

    ベッドにはウエッジピローを使用し、半座位で寝られるようにします。足元が冷える場合はウールソックスと足首の下にフォームローラーを置くと快適です。テレビやDVDプレーヤー、好きな映画を用意して、最初の1週間を楽しく過ごせるようにします。

自立への工夫

  • 日常の動作を自分で行えるように、トングやリーチャー(長柄のつかみ道具)を準備します。床に落ちたものを拾うのは股関節脱臼の危険があるため、必ずリーチャーを使用してください。

    ソックエイドや長柄のシューインサート、バスケット付きの歩行器も役立ちます。座面が低すぎる椅子や車のシートはクッション(厚さ4〜6インチ)を敷いて高さを調整しましょう。

リハビリプログラム

  • 処方されたエクササイズは必ず実施し、筋力回復を図ります。水中エクササイズは関節に負担が少なく、最も効果的です。プールが利用できない場合は、手術前に利用できる施設を確保しておくと安心です。

    術後は筋力が大幅に低下しますが、リハビリに取り組むことで数週間で大きく改善します。新しいトレーニングプログラムと考えて、継続的に取り組みましょう。

性活動について

  • 「いつから性行為を再開できるか」は個人差がありますが、無理をせず自分の体調に合わせて徐々に戻すことが大切です。医師からの指導資料を参考にし、過度に慎重になるのは自然なことですので、焦らずゆっくり進めましょう。

仕事・日常生活への復帰

  • 数週間後には仕事に復帰できることが多いですが、疲れやすくなることがあります。階段は筋力強化に役立ちますが、慎重に上り下りしてください。完全な回復には時間がかかりますが、股関節の痛みは徐々に軽減していきます。

覚えておくべき注意点

  • 以下のポイントは必ず守ってください。

    • 術後8週間は膝を交差させない。
    • 膝を股関節より高く上げない。
    • 座るときや立ち上がるときに前屈しない。
    • 曲げるときに足を過度に内外に向けない。
    • 脚は前向きに保つ。
    • 座位・立位時は患側の脚を前に出す。
    • ベッドで毛布を引っ張るときは腰を曲げない。
    • 前屈は90度以内にとどめる。
    • 足先を外側に向けて立たない。
    • キッチンやバーでは高めのスツールを使用する。
    • 手術を受けていない側の膝に乗って座らない。
    • 手術側の膝に乗って座ることは許容される。
    • 痛みの程度だけで行動を判断しない。

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