膝関節置換手術で使用される部品の種類と特徴
手術の種類
膝関節置換手術には主に3つのタイプがあります。
- 従来型(開放手術):膝蓋骨の正中に6〜9インチの切開を行い、股関節上部骨(大腿骨)下部、下腿骨(脛骨)上部、そして膝蓋骨全体を除去します。その後、患者個別に作成した人工関節を取り付け、ピン・セメント・スクリューで固定します。
- 低侵襲手術:基本的な手順は同じですが、切開を小さくし、内視鏡カメラや特殊器具で関節内部を可視化しながら行います。
- 単室側膝関節置換(ユニコンパートメンタル):膝の片側だけが損傷・変形している場合に、損傷した部分だけを除去し、半分の人工関節で置換します。
使用される部品
ほとんどの膝置換手術で共通して使用される部品は次の3つです。
- 脛骨(ティビア)用人工部品
- 大腿骨(フェモラ)用人工部品
- 膝蓋骨(パテラ)用人工部品
単室側置換の場合は、上記部品のうち半分だけ(通常はフェモラまたはティビア)を使用します。
素材の違いと耐久性
人工関節は主に以下の2種類の素材で作られます。
- セラミック:摩擦が少なく、関節の滑らかな動きを実現。金属部品に比べて摩耗が遅く、平均寿命は約25年と長いです。
- 酸化ジルコニウム(ジルコニア):酸素を吸収させて表面をセラミック化した素材。耐久性が高く、従来の金属・プラスチック製インプラントよりも長持ちします。
従来型の金属・プラスチックインプラントは平均寿命が約15年です。
セメント固定とセメントレス固定
人工関節の固定方法には2つのアプローチがあります。
- セメント固定:骨とインプラントの間に特別なセメントを注入し、ピンで追加固定する方法。骨密度が低い高齢者や骨に問題がある患者に適しています。
- セメントレス(骨と結合)固定:インプラントに多孔質構造やコートを施し、骨が自然に成長して固定されるように設計。若年者で骨質が良好な場合に推奨され、時間とともに骨と一体化します。
よくある誤解
「人工膝は自然な膝と同じ性能になる」という誤解がありますが、実際には以下の点で違いがあります。
- 痛みの軽減や日常活動の改善は期待できるが、強度・耐久性・柔軟性は元の膝には及びません。
- スポーツや激しい運動への復帰は限られ、プロレベルの競技復帰はほぼ不可能です。
膝関節置換は生活の質を向上させる手術であり、元の膝と同等の機能回復を目指すものではありません。
