手術後の肩関節・受動的可動域運動

肩関節は人体で最も可動性が高く、その構造上さまざまな怪我に弱い部位です。特に回旋腱板(ローテータカフ)の損傷がある場合に手術が行われます。回旋腱板は肩甲骨と上腕骨をつなぐ腱と筋肉の集合体で、持ち上げる動作や頭上での到達、泳ぐ動作などに関与します。手術後の回復には時間がかかりますが、受動的可動域(PROM)エクササイズを取り入れることで疼痛軽減や筋力回復、長期的な合併症の予防が期待できます。

受動的可動域(PROM)

受動的可動域エクササイズ(Passive Range of Motion、PROM)は、患者自身が筋肉を使わず、医療従事者が関節を動かすことで行うリハビリです。看護師や理学療法士が医師の指示のもと実施し、手術した関節への負担を最小限に抑えます。手術直後から筋肉の萎縮や拘縮を防ぐためにゆっくり開始し、徐々に可動域を広げていきます。

実施上の注意(ルール)

  • すべてのエクササイズは術後の医師または外科医の指導の下で行い、正しい方法と制限を確認してください。
  • 過度の負荷を避けるため、動作は滑らかで穏やかに行い、医療スタッフの指示に従って回数や範囲を調整します。
  • 痛みや違和感がある場合は直ちに中止し、担当医に報告してください。

実施方法(What to Do)

1. ゆっくりと始め、関節が快適に感じる範囲だけ動かします。
2. 抵抗を感じたらすぐに止め、関節がこれ以上曲がらない点が限界です。
3. 毎日行い、可能であれば同じ時間帯に実施します。音楽や好きなテレビ番組を流すとリラックスできます。
4. 1日のうちに数回に分けて行い、筋肉の疲労や痛みを防ぎます。

中止すべきサイン(When to Stop)

患者が痛みや不快感を訴えた場合は直ちに中止してください。介護者は痛みのサインに敏感になり、関節の正常な可動範囲を超えないよう注意します。

肩関節エクササイズ例

  • 患者の肘を支え、手のひらを体側に向けた状態で、腕を前方・上方に持ち上げ、耳に届くまで上げます。その後、ゆっくりと側面へ下ろします。医師の指示に従い、10〜15回を目安に行います。
  • 肩の回旋運動:腕を横に広げ、肘を曲げて親指・指先が上を向くようにし、そこから親指・指先が下を向くまで回転させます。

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