ヒト成長ホルモンの安全性とリスク
現在、ヒト成長ホルモン(hGH)は医師の処方による注射と、サプリメントの形で入手できます。成長障害のある患者への注射療法は効果があるとされていますが、米国医学会誌(JAMA)に掲載された研究では、hGHには重大なリスクもあることが指摘されています。
ヒト成長ホルモンとは
ヒト成長ホルモンは細胞の成長・増殖、再生を促進するホルモンで、下垂体前葉から分泌されます。医療用に使用されるhGHは、天然ホルモンと同一構造の合成ペプチドです。
医療用途
米国食品医薬品局(FDA)は、子どもや成人の成長ホルモン欠乏症の治療、またエイズ患者における筋肉量減少の抑制にhGHを承認しています。一方、抗加齢や減量目的での投与はFDAで禁止されており、違反した場合は最大5年の懲役と25万ドルの罰金が科せられます。スポーツ選手への使用も同様に違法です。
市販サプリメント
アスリートやボディービルダー向けに販売されているhGHサプリは規制が緩く、品質や実際の含有量は不明瞭です。含有されるhGHの量は極めて少なく、経口摂取では胃腸で分解されるため、筋肉増強効果は期待できません。
リスク
hGH治療には以下のような副作用が報告されています。
- 糖尿病リスクの増大
- 関節腫脹・疼痛、手根管症候群
- 前立腺腫瘍やその他のがんリスク上昇
- 心血管疾患、心肥大、骨格過成長
- 一部サプリに含まれる興奮剤による心拍数増加や不整脈
研究結果
1990年に『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載された小規模(21名)研究では、hGH注射が脂肪減少と筋肉増加をもたらすと報告されました。しかし、後続の研究では同様の結果は再現されず、長期的な安全性や有効性は十分に検証されていません。
