高気圧酸素療法(HBOT)とは

高気圧酸素療法は、酸素濃度100%の空気を大気圧より高い圧力下で吸入する医療法です。専用の高気圧チャンバー内で酸素の流量と圧力が管理され、血液中のプラズマに溶け込む酸素量が増加し、全身の組織へ酸素が供給されます。

治療は「圧縮」「本療法」「減圧」の3段階に分かれます。単室(モノプレイス)チャンバーでは患者は水平に横たわり、100%酸素が充填されます。多室(マルチプレイス)チャンバーでは座位で、酸素ホッドやバルブマスクで酸素が供給され、1室に12名以上が同時に治療を受けることもあります。

圧縮(加圧)

チャンバー内の圧力が上昇する段階です。耳が詰まる感覚(潜水や飛行機の降下時と同様)を感じることがあります。スタッフが圧力変化の速度を調整し、耳抜きの方法を指導します。通常5分程度で完了します。

本療法(治療)

医師が設定した圧力に達したら、患者は読書、テレビ視聴、音楽鑑賞などが可能です。治療時間は疾患や施設により1〜2時間です。場合によっては、100%酸素吸入と通常酸素吸入を交互に行うこともあります。

減圧(降圧)

治療終了後、チャンバーの圧力を徐々に下げます。耳が自然に調整される感覚があり、5〜10分で完了します。

注意事項

チャンバー内は高濃度の酸素があるため、引火性のあるヘアスプレー、メイク、香水、ワセリン、石油系製品は使用できません。石油系の保湿剤やローションも避け、金属製のスパークを起こす可能性のある物品は持ち込み禁止です。治療中は非燃性の病院用スクラブを着用します。

副作用

一部の患者で近視様の視力変化が起こることがありますが、通常は治療終了後3〜4か月で回復します。その他の副作用は極めて稀です。喫煙者は治療間の喫煙を控えることが推奨されます。