超音波理学療法の基礎と応用

超音波は熱療法(温熱治療)の一種で、痛みを伴う状態の回復や軟部組織の損傷修復に役立ちます。超音波療法は高周波の音波を用い、皮膚の約5cm(2インチ)まで浸透させます。この音波が発生させる熱は治癒プロセスを刺激し、患部への血流を増加させ、腫れや炎症を軽減します。超音波療法は理学療法士、作業療法士、医師が実施できるほか、ポータブル超音波装置を用いて自宅でも行うことが可能です。

超音波の仕組み

超音波装置はコンソールからコアキシャルケーブルを介して手持ちのトランスデューサへ電流を供給します。トランスデューサ内部の石英結晶が伸縮し、皮膚に向けて音波を発生させます。トランスデューサのヘッドは0.8〜3MHzの高周波で絶えず振動し、周波数が低いほど深部に浸透し、周波数が高いほど表層に留まります。装置は出力ワット数を変えることでエネルギー量と熱量を調整でき、一般的には低出力で長時間の照射が推奨されます。

超音波の照射方法

超音波は連続波(Continuous Wave)とパルス波(Pulsed Wave)の2種類で照射できます。パルス波は熱の発生が少なく、音波を間欠的に送り出すため、炎症・腫脹・疼痛の軽減や創傷管理に適しています。一方、連続波は高い周波数と熱を伴い、組織の代謝を活性化して治癒を促進します。

フォノフォレシス(音波薬剤送達)

フォノフォレシスは、導電性ゲルと超音波装置を併用して、局所に塗布した薬剤を皮膚の奥深くまで届ける技術です。全身に薬を投与する経口薬と異なり、必要な部位だけに薬を集中させられる利点があります。ただし、使用できる薬剤は分子サイズが適切で、超音波による熱や振動に耐えられるものに限られます。

主な効果

超音波療法の主な効果は以下の通りです。

  • 患部への血流増加により治癒プロセスが促進される。
  • 瘢痕組織、慢性腫脹、炎症の軽減。
  • 組織代謝と循環の活性化。
  • 神経根への刺激緩和。
  • 筋痙攣の抑制。
  • 筋肉や腱への優しいマッサージ効果でリラックスと回復を支援。
  • 局所治療に特化し、全身への副作用が少ない。
  • フォノフォレシスによる薬剤送達。
  • 多くの患者で即時の疼痛緩和が期待できる。

注意点・リスク

すべての医療行為と同様に、超音波療法にもリスクがあります。以下の部位や条件では使用を避けるべきです。

  • 心臓、腎臓、肝臓、目、卵巣、精巣、耳、脳、脊髄、腸などの重要臓器。
  • 血友病、脊髄二分脊椎、糖尿病性神経障害、深部静脈血栓症などの既往症。
  • 妊娠中の女性は腹部や腰部への照射は禁忌。
  • ペースメーカーやインプラントデバイスを装着している場合は使用しない。

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