乳児健忘とは何か?
乳児健忘(インファンティル・アムネジア)とは、生後数年の出来事を思い出すことができない現象です。ごく一部の人は、生後1〜3歳の出来事を覚えていることがありますが、ほとんどの人は2歳以降の記憶から始まります。
なぜ起こるのか
正確な原因は完全には解明されていませんが、乳児期の脳の変化と関係しています。主な要因は以下の通りです。
- 急速な脳の成長:生後数年間は記憶に関わる領域が急速に発達し、シナプスが多数形成されます。成長と共に不要な接続が整理・削除されるため、初期の記憶が失われやすくなります。
- 未熟な海馬:新しい記憶の形成と長期記憶の統合に重要な海馬は、約2〜4歳になるまで完全に機能しません。
- 言語・コミュニケーション能力の未熟さ:幼児は言語表現が限られ、経験を言語化できないため、情報の符号化が不十分になりやすく、記憶が残りにくくなります。
どのくらい続くのか
多くの人は2〜4歳頃から記憶が形成されますが、個人差は大きく、18か月頃の記憶がある人もいれば、5〜6歳まで記憶が乏しい人もいます。
例外
稀に「過剰記憶症(ハイパーシメジア)」と呼ばれる、幼少期の詳細な記憶を保持している人がいます。原因は脳内の異常な接続や機能パターンと考えられますが、まだ完全には解明されていません。
