膀胱CIS(上皮内癌)に対するBCG療法プロトコル
膀胱CIS(上皮内癌)とは
膀胱の上皮内癌(CIS)は、腫瘍が膀胱壁の最も内側の層にとどまる早期の膀胱がんです。未治療のまま放置すると、徐々に深部へ浸潤し、膀胱壁を突破して周囲の臓器にまで広がります。米国では年間4,000〜5,000人が罹患し、男性が女性の約3倍です。全体の尿路上皮癌(TCC)の約10%を占め、残りは浸潤性です。症状は排尿時の刺激感や血尿で、尿路感染症と類似します。膀胱鏡検査では、赤くベルベット状の病変として観察されます。喫煙や環境中の発がん物質が主な危険因子とされています。
BCG(カルチュアード・ミュコバクテリウム)投与法
BCGは結核を引き起こす菌(Mycobacterium bovis)を弱毒化したもので、膀胱CISの治療に用いられます。市販の製剤は主にTice と TheraCys があり、凍結乾燥粉末状の生菌と死菌が含まれます。医師は30〜50 mL(約1 オンス)の生理食塩水で再constituteし、カテーテルを尿道から膀胱へ導入して注入します。投与前に尿路感染症がないことを確認する必要があります。
膀胱内保持と体位変換
注入後、患者は少なくとも1時間膀胱内に溶液を保持します。その間、背中・前面・左右各15分ずつ体位を変えて、膀胱全体に均等に接触させます。BCGは膀胱内で炎症を起こし、免疫系のT細胞やマクロファージが腫瘍とBCG菌を同時に攻撃します。また、BCGは腫瘍細胞の増殖を直接抑制する作用も示されています。
投与回数と治療スケジュール
通常は週1回、計6回の投与を行い、その後膀胱鏡で評価します。必要に応じてもう一度6回のコースを実施します。臨床研究によれば、約85%の患者でCISが完全に消失し、1〜2回の投与だけでも再発率は低く抑えられます。
副作用とリスク
カテーテル挿入自体のリスクに加え、約80%の患者が排尿時の刺激感や排尿困難を、40%が血尿を、30%が発熱を訴えます。症状は通常2日以内に自然に改善し、鎮痛剤で対処できます。稀に肉芽腫、アレルギー反応、全身性の重篤なBCG感染が起こることがあります。投尿後は次の3回の排尿までトイレを清掃し、家族への菌の拡散を防止することが推奨されます。
代替治療法
BCGに代わる化学療法薬として、ミトマイシンC、ゲムシタビン、ドキソルビシンなどが使用されますが、BCGが依然として標準治療です。CISは膀胱内に多数の小病変が散在するため、外科的切除は実用的ではありません。BCGにインターフェロンを併用すると効果が向上する報告があり、BCG不応例にはバルルビシンが試みられますが反応率は低いです。化学療法が失敗した場合は膀胱全摘が最終手段となります。
