アントラサイクリン系薬剤の副作用と注意点
アントラサイクリンの作用機序
アントラサイクリンは細胞分裂を妨げることでがん細胞の増殖を抑制します。DNAに直接作用し、酸素ラジカルを生成してDNA鎖を切断し、DNA合成を阻害します。国立がん研究所によれば、アントラサイクリンはがん細胞のDNAを損傷させ、細胞死を引き起こすとされています。
主な副作用
最も重大な副作用は心毒性で、心筋ミトコンドリアの保護物質を障害し、心臓にダメージを与える可能性があります。その他、吐き気、脱毛、組織壊死、下痢、腹痛、血栓性静脈炎、血栓、発熱・寒気などが報告されています。稀にアナフィラキシーショックが起こり、めまい、意識喪失、呼吸困難、皮膚の青紫変化、舌腫脹、低血圧、心不全、最悪の場合死に至ることがあります。これらの副作用は治療中止後に軽減することが多いです。
化学療法のサイクル
がん細胞が分裂期にあるか静止期にあるかに応じて、使用する薬剤と投与タイミングが決まります。分裂期に作用する薬剤は「細胞周期特異的」、静止期に作用する薬剤は「細胞周期非特異的」と呼ばれます。そのため、化学療法は一定期間ごとに投与を繰り返すサイクル治療が行われます。
白血病・乳がんに対する治療例
アントラサイクリンはもともとリンパ腫、白血病、子宮・卵巣・肺・乳がんなどの治療に用いられました。特にHER2陽性乳がんでは、HER2タンパク質が過剰に産生されているため、アントラサイクリンが有効とされています。白血病の治療では「誘導療法」として使用され、血液中のがん細胞を除去した後、骨髄移植などの長期治療へとつながります。
注意点と薬物相互作用
アントラサイクリンは長期的に白血病を二次的に発症させるリスクがあります。また、すべての患者で骨髄抑制が起こり、心毒性も併存します。使用にあたっては、効果とリスクを慎重に比較検討する必要があります。本稿は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療方針の指示を意図したものではありません。
