プロトセルがん治療法の概要と現状
プロトセルの歴史
1936年、米国の化学者ジム・シャリダンが、がんや特定のウイルス感染症の治療、さらに重篤な病気の回復を促進すると主張する、無毒性の液体製剤を開発しました。開発当初は「エンテレブ」と名付けられ、後に配合改良を経て「キャンセル」と改称されました。シャリダンは数十年にわたり腫瘍を持つ実験用マウスで効果を検証し、米国食品医薬品局(FDA)への承認申請を試みましたが、1989年時点で米国でのがん・ウイルス治療薬としては承認されていません。現在はオーストラリアや英国など一部の国で限定的に使用されていますが、効果は明確ではありません。
プロトセルの作用機序
プロトセルはがん細胞やウイルス細胞の嫌気性呼吸を標的にするとされています。つまり、これらの有害細胞のエネルギー供給を遮断し、呼吸を「窒息」させることで増殖を抑制します。がん細胞が弱体化すれば、化学療法や抗ウイルス薬といった従来の治療が効きやすくなると考えられています。従来のがん治療が正常細胞も破壊するのに対し、プロトセルはがん細胞のみを選択的に阻害することを目指しています。
FDAの承認状況と注意点
いかに効果が期待されても、プロトセルは米国でFDAの承認を得ていません。また、卵巣がんや内部黒色腫、デスモイド腫、脳腫瘍などすべてのがんに有効というわけではなく、他のがん治療と併用した際に副作用が生じる可能性があります。妊娠中・授乳中の使用は安全性が不明なため推奨されません。さらに、特定の食事やサプリメントとの併用が禁忌とされるケースも報告されています。今後の研究開発により、難治性がんへの新たな治療オプションとなる可能性は残されています。
