胃の細菌が引き起こす癌リスク

胃の細菌が引き起こす癌リスク

ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は、胃の粘膜に常在する細菌です。世界人口の約半数が感染しているとされ、ほとんどは無症状です。しかし、感染が持続すると潰瘍や胃がん、MALTリンパ腫、膵臓がんなどの重大な合併症を引き起こすことがあります。

ヘリコバクター・ピロリの特徴

ピロリは強酸性の胃液に耐える特殊な酵素(ウレアーゼ)を持ち、尿素をアンモニアに分解します。アンモニアが胃のpHを上昇させ、細菌が生存しやすい環境を作り出します。

感染経路とリスク層

主な感染経路は汚染された水や食物、口と口の接触です。特に発展途上国の衛生環境が不十分な地域で子どもが感染しやすく、成人になるまで症状が出ないことが多いです。

胃がんとの関係

胃がんは「胃噴門部がん(カードリア癌)」と「非カードリアがん」の2タイプに分かれます。ピロリ感染は非カードリアがんの主要な危険因子とされ、感染が長期化するとがん化リスクが高まります。

MALTリンパ腫

MALT(粘膜関連リンパ組織)リンパ腫は胃粘膜にB細胞が異常増殖する稀な非ホジキンリンパ腫です。ほぼすべてのMALTリンパ腫患者はピロリ感染を伴い、抗生物質でピロリを除去すると多くが寛解します。

膵臓がんとの関連性

潰瘍手術を受けた患者は後年に膵臓がんを発症しやすいと報告されています。ピロリは潰瘍の原因菌として知られ、ある小規模研究では膵臓がん患者の65%がピロリ陽性でした。因果関係は完全には解明されていませんが、関連が疑われています。

予防と対策

ピロリ感染が疑われる場合は、呼気テストや血液検査で診断し、適切な抗生物質治療(トリプルまたは四重療法)を行うことが推奨されます。感染予防には清潔な飲料水と衛生的な食生活が重要です。

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