膵臓がんの診断と治療方法
米国がん協会によると、毎年約3万8千人が膵臓がんと診断され、そのうち約3万4千人が亡くなります。がん死因で4位と高い死亡率を示し、予後は厳しいのが現実です。早期に診断できれば、治療開始のタイミングを早められます。
診断
膵臓がんが疑われる場合、まず画像診断が行われます。MRIはトンネル型の装置で磁場を利用し、膵臓の詳細な画像を作成します。腹部超音波は痛みや黄疸があるときに最初に実施され、超音波が膵臓に反射した情報を画像化します。腫瘍が確認されたら、CT検査が追加され、腫瘍の大きさや転移の有無を高精度で評価します。
生検
画像診断で異常が認められたら、生検により組織を採取し、がんの確定診断と病期評価を行います。針生検は腹部に針を刺して少量の組織を採取し、腹腔鏡下生検はラパロスコープを用いて直接組織を取り出します。病理結果が悪性と判明した時点で、腫瘍学、放射線腫瘍学、内分泌学の専門医が最適な治療方針を協議します。
病期分類(ステージング)
治療方針はがんのステージに大きく依存します。ステージⅠは膵臓内に限局し、外科的切除が主な治療となります。ステージⅡは膵臓に留まりますが、血管やリンパ節への浸潤がみられます。ステージⅢは膵臓以外の臓器へ転移しており、手術だけでなく化学療法や放射線療法が併用されます。
手術
主にステージⅠの患者に適応され、腫瘍の位置や大きさに応じて膵頭部切除(ウィップル手術)や部分切除が行われます。ウィップル手術では膵頭部だけでなく、胆管、胆嚢、十二指腸、場合によっては脾臓も同時に切除します。術後は化学療法や放射線療法を併用し、再発リスクを低減させます。
化学療法
抗がん剤を静脈注射または経口で投与し、全身に作用させる全身療法です。がん細胞の増殖を阻害しますが、同時に正常な増殖細胞にも影響するため、吐き気、脱毛、免疫低下などの副作用が生じます。外来での投与や入院治療が選択されます。
放射線療法
高エネルギーの放射線を局所的に照射し、腫瘍細胞を破壊します。放射線腫瘍医が照射範囲を精密に設定し、正常組織へのダメージを最小限に抑えます。ただし、皮膚炎や疲労感といった副作用があります。
生物学的療法(免疫療法)
免疫システムを活性化してがん細胞を攻撃させる治療です。インターフェロンやモノクローナル抗体製剤が代表的で、がん細胞の増殖シグナルを阻害したり、免疫細胞の腫瘍認識を高めます。従来の化学療法と組み合わせて使用されることが増えています。
