画像交換コミュニケーションシステム(PECS)とは
画像交換コミュニケーションシステム(PECS)は、補助代替コミュニケーション(AAC)の一種で、音声ではなく絵カードを用いて自閉症児の言語発達を支援する方法です。言語遅延が顕著な子どもたちが、欲しいものや感じたことを視覚的に表現できるように設計されています。
機能
PECSを初めて体験する子どもには、好きなおもちゃや食べ物の絵カードが提示されます。子どもが欲しいものを示すカードを、親や教師などの「コミュニケーションパートナー」に渡すと、相手はその対象物(おもちゃや食べ物)を子どもに提供します。このやり取りにより、子どもは欲求を伝える手段として絵カードの有用性を学びます。
応用例
日常生活の中で見かけたものを指すことも可能です。たとえば、スーパーの果物コーナーでリンゴを見た場合、子どもはリンゴの絵カードを渡すことで「リンゴが欲しい」ことを伝えられます。こうした経験は、言語によるコミュニケーションの価値を実感させ、将来的な言語使用への動機付けにつながります。
指導者の条件
PECSは、十分に研修を受けた指導者(保護者、教師、セラピスト、介護者など)が実施すべきです。指導者は、応用行動分析(ABA)の原理を深く理解し、子どもの行動を観察・評価しながら適切に強化する技術を持っている必要があります。
理論的背景
PECSは、ABAに基づくアプローチです。ABAは、行動と認知スキルを体系的に教える手法で、観察とポジティブ・リインフォースメント(正の強化)を組み合わせて子どもの学習を促進します。
導入時の留意点
PECSの導入コストは低く抑えられます。必要なのは、絵カードを収納する3リングバインダーと、現在使用中のカードを表示するためのベルクロテープです。カードは手描きでも、雑誌や書籍から切り抜いて作成しても構いません。
