双極性障害に対する認知行動療法の概要

双極性障害とは

双極性障害は、極端な高揚(躁)と抑うつが交互に現れる精神疾患です。かつては「躁うつ病」と呼ばれていました。躁状態の主な症状は、過活動、興奮、早口、自己や能力に対する誇大な考え、衝動的な行動です。一方、抑うつ状態では、持続的な悲しみ、罪悪感、エネルギー不足、興味・関心の喪失が見られます。

認知行動療法(CBT)とは

認知行動療法は、繰り返し現れる否定的な思考パターンや行動を修正し、感情のコントロールを促す心理療法です。双極性障害の治療では、薬物療法と併用することで効果が高まります。CBTは本人だけでなく、家族や友人が症状を理解し、適切にサポートできるよう支援します。例えば、躁エピソードで無謀な出費や危険な行動が起きたとき、その背景にある思考や感情を共有することで、周囲の混乱やトラブルを減らすことができます。

米国認知行動療法学会は、CBTが躁・抑うつエピソードの前兆を見極める手助けになると指摘しています。自分のトリガー(思考や行動の変化)を把握すれば、発作の予防や対策がしやすくなります。

CBTの実施方法

治療期間は個人の状態や目標、担当医の提案によって異なります。通常、プライベートなセラピールームでセラピストと1対1でセッションを行い、症状や日常生活への影響について話し合います。セラピストは、患者の行動や気分が自分や周囲に与える影響を分析し、具体的な対処法を提案します。

CBTの効果を最大化するには、セラピストからの助言を真摯に受け止め、否定的な自己認識を再構築する努力が必要です。時間はかかりますが、徐々にネガティブな思考に挑戦し、行動をコントロールできるようになります。

留意点

Rashmi Nemade博士とMark Dombeck博士による「双極性障害治療――心理療法と認知行動療法」の研究によれば、CBTは以下の条件が整っているときに最も効果的です。

  • 比較的安定した状態であること。
  • 適切な薬物療法を受け、服薬を遵守していること。
  • 自己認識とコミュニケーション能力があり、症状を客観的に分析・相談できること。

初めは見知らぬセラピストに心を開くことに不安を感じるかもしれませんが、専門家のサポートは患者本人とその周囲の生活の質向上に繋がります。

脳・神経系 - 関連記事