概要

側頭葉は聴覚情報の知覚、言語理解、視覚記憶、事実の想起、感情の処理に関わります。側頭葉に障害が起きると、忘れやすくなる、会話が困難になるといった症状が現れます。代表的な障害として失語症、失認、健忘症(アムネジア)があります。

失語症(Aphasia)

  • ウェルニッケ失語(受容性失語)では、話し言葉や文字を理解しにくくなりますが、流暢に話すことはできても意味が通じません。原因は脳卒中、腫瘍、外傷、感染などです。

  • 全失語(グローバル失語)は、左側頭葉と前頭葉が同時に損傷した場合に起こり、言語の理解・発話・書字すべてが困難になります。

その他の障害

  • 失認は比較的稀な障害で、頭部外傷や脳卒中後に急速に現れます。聴覚失認は音は聞こえるものの音の認識ができません。

  • 健忘症は記憶喪失で、側頭葉を含む脳の任意の部位が損傷すると起こります。側頭葉の痙攣は一過性全健忘(Transient Global Amnesia)を引き起こし、新旧の出来事や人物を思い出せなくなります。

症状

  • 障害の進行が速いほど、症状は早く現れます。右側頭葉が損傷すると音や形の記憶が低下し、左側頭葉が損傷すると語彙や言語理解が障害されます。性格変化(ユーモアの欠如、極端な宗教心、性欲低下)や、複合部分発作(感情・自律神経・認知の乱れ)も見られます。

治療と回復

  • 失語症の主な治療は言語療法です。多くの患者は治療開始から3か月以内に言語機能が回復し、6か月以降も改善が続くことがあります。

  • 失認に対する特定の治療法はありませんが、稀に自然回復が見られます。健忘症は多くの場合短期間で回復し、治療なしでも改善しますが、記憶形成が永続的に困難になるケースもあります。

  • 障害の進行が緩やかであれば、未損傷の脳領域が機能を代替しやすく、回復の可能性が高まります。