定義
公衆の前で話すことへの恐怖は「スピーチ不安」と呼ばれ、ギリシャ語の「glossa(舌)」と「phobos(恐怖)」から派生した「glossophobia」とも言われます。軽度の緊張感は誰にでもありますが、正式な障害としては身体的、言語的、非言語的な症状が顕著に現れる場合を指します。
身体的症状
スピーチ不安の身体的反応は自律神経系が引き起こし、闘争か逃走かの「戦うか逃げるか」モードに切り替わります。心拍数の増加、感覚の鋭敏化、筋肉の緊張、過度の発汗、呼吸の速さや過呼吸が見られます。
言語的・非言語的症状
言語的な症状としては、息切れや声がかすれる、吃音や早口になることがあります。これは「戦うか逃げるか」反応でタスクを早く終わらせようとするためです。
非言語的な症状には姿勢の崩れ、指の痙攣、場内の歩き回り、視線を合わせにくいことなどがあります。話す必要がない場合は、観客と心理的な壁を作ってパフォーマンスできる人もいます。
フロイトの見解
精神分析の創始者ジグムント・フロイトは、スピーチ不安は幼少期の経験に起因すると考えました。人は生まれたとき無力で裸であり、泣き叫ぶことで恐怖を表現します。大勢の前で話す際に感じる露出感は、赤ん坊時代の無防備さを思い起こさせ、同様の恐怖反応が引き起こされるとしました。
内向性(シャイネス)との関係
認知心理学者フィリップ・G・ジンバルドは、スピーチ不安の根底に「恥ずかしさ」や「内向性」があると指摘しています。慢性的な内向性とスピーチ不安は、口の乾燥、目の充血、心拍数の上昇、息切れ、顔の紅潮、過度の発汗といった症状でほぼ一致します。ジンバルドは、文化的要因が内向性の程度に影響し、日本のような社会では内向性が高まる傾向があると述べています。
