ジニトロサリチル酸の主な利用法
ジニトロサリチル酸は安定した化学化合物ですが、名前が示す通り「酸」であり、強い腐食性を持つ危険な物質です。皮膚に触れるとやけどを起こし、吸入すると呼吸器官を、経口摂取すると胃腸を焼くため、一般家庭での使用には適していません。そのため、主に特定の実験室や医療検査で利用されています。
定義
ジニトロサリチル酸(化学名:3,5-ジニトロサリチル酸)は、黄色の固体で、分子式は C7H4N2O7です。水には溶けませんが、エタノールやベンゼンには溶解します。
還元剤としての利用
1921年に、ジニトロサリチル酸が尿中のグルコース(糖)量を測定する試薬として有効であることが報告されました。糖は還元剤として働き、ジニトロサリチル酸を還元すると色が変化します。
尿検査では、ジニトロサリチル酸試薬(通常はロゼール塩、フェノール、亜硫酸ナトリウムを含む)を加え、試薬が還元されると赤褐色に変化し、糖の存在を示します。
定量測定
色変化が非常に顕著なため、既知濃度のグルコース標準液と比較することで、尿中の糖量を定量的に求めることができます。
α-アミラーゼ活性測定
ジニトロサリチル酸は、α-アミラーゼがデンプンを加水分解して生成するマルトース(還元糖)を検出する色試薬としても使用されます。酵素反応が進むと色が濃くなり、酵素活性を評価できます。
ジニトロサリチル酸とサリチル酸の違い
サリチル酸は白色結晶で、アスピリンの原料やにきび治療薬として広く利用されています。一方、ジニトロサリチル酸は皮膚・呼吸器・消化器に対して有害で、医薬品としては使用できません。
