ストレス時にインスリン分泌が減少する理由とは?
ストレスがかかると交感神経系と視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸が同時に活性化し、インスリンの分泌が抑えられます。このメカニズムを段階的に解説します。
1. 交感神経系の活性化
ストレスを感じると交感神経が刺激され、エピネフリン(アドレナリン)とノルエピネフリンが血中に放出されます。これらは「闘争・逃走」反応を引き起こし、エネルギーを緊急的に利用できる形へとシフトさせます。その結果、インスリンの分泌は抑制され、血糖がそのまま利用できるようになります。
2. HPA軸の活性化
ストレスは視床下部からCRH(コルチコトロピン放出ホルモン)を分泌させ、下垂体前葉がACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を産生します。ACTHは副腎に作用し、コルチゾールを放出させます。
3. エピネフリン・ノルエピネフリン・コルチゾールの影響
- エピネフリンとノルエピネフリンは膵臓のβ細胞に直接作用し、インスリンの分泌を阻害します。
- コルチゾールは以下のように血糖代謝を変化させ、インスリン分泌をさらに低下させます。
- 肝臓での糖新生(グルコース産生)を促進し、血糖を上昇させる。
- 筋肉や脂肪組織への糖取り込みを抑制し、インスリン感受性を低下させる(インスリン抵抗性)。
このように、ストレス時のホルモン変化はエネルギーを即座に利用できる状態にするため、インスリン分泌を一時的に減少させます。しかし、慢性的なストレスはインスリンシグナルを乱し、インスリン抵抗性や2型糖尿病のリスクを高めることがあります。
