薬物乱用と物質依存の3つの違いとは?
薬物乱用と物質依存は、しばしば同じように語られますが、実際には重要な違いがあります。本稿では、DSMの定義と実際の例をもとに、以下の3つの観点から比較します。
DSM における分類
精神医学で標準的に用いられる「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition(DSM‑IV)」では、薬物乱用(substance abuse)と薬物依存(substance dependence)は別個の診断基準として設定されています。2010 年 3 月に Psychology Today が報じたところによると、これら二つの分類を統合し「substance use disorder(物質使用障害)」という新たなカテゴリーに変更する提案がなされ、2013 年 5 月に刊行予定の DSM‑5 で実施される見込みです。
使用頻度と時間的パターン
薬物乱用は「不規則に」薬物を使用する状態を指します。たとえば、1 日だけ大量に飲酒し、仕事を欠勤し、飲酒運転で逮捕されるようなケースです。DSM の基準では、薬物使用が法的・職場・家庭に何らかの悪影響を及ぼすことが乱用とみなされます。逆に、数週間は全く飲まないが、たまに「ビンジ」する人は乱用者に該当します。
一方、薬物依存は「毎日」またはほぼ毎日薬物を使用し続ける状態です。たとえば、アルコールを毎日摂取しないと機能できないといったケースが典型です。
使用からの自由度(コントロールの有無)
依存者は薬物がなければ日常生活を送れず、離脱すると身体的な離脱症状が現れます。Psychiatry and Wellness の記事では、依存は「身体的依存」であり、単なる嗜好や欲求とは異なると説明されています。乱用者は「いつでも」薬物使用をやめることが可能です(再び使用したくなるかどうかは別問題)。
身体的耐性の有無
身体的耐性とは、長期間の使用により同じ効果を得るために摂取量を増やさなければならなくなる現象です。Healthy Place によれば、依存者は時間とともに必要量が増加し、体がより高用量を要求します。対照的に、乱用者は使用回数が少ないため、各エピソードでの摂取量はほぼ一定です。
以上のように、薬物乱用と物質依存は「診断上の分類」「使用頻度」「使用からの自由度」「身体的耐性」の4点で区別できますが、特に「使用頻度」「使用からの自由度」「身体的耐性」の3つが主要な違いとして挙げられます。
