乳様突起(マストイド)に関する疾患と対処法
乳様突起は側頭骨の後部に位置し、耳のすぐ後ろにある骨です。外耳や中耳の穿孔、感染症が原因で炎症や感染を起こすことがあります。乳様突起の疾患は骨から他の部位へ広がりやすく、内耳の機能障害、難聴や耳鳴り、平衡感覚の障害を引き起こすことがあります。適切な診断と治療が早期に行われないと、症状が悪化し手術が必要になることもあります。
乳様突起感染(乳様突起炎)
乳様突起炎は耳のすぐ後ろにある乳様突起の骨が感染する状態です。主な症状は耳からの分泌物、耳の痛み・不快感、急激に上昇する発熱、頭痛、聴力低下、耳道や後頭部の紅斑・腫脹、耳が突出して見えることなどがあります。抗生物質が骨まで十分に届きにくく、長期または反復的な投薬が必要になることがあります。薬剤は経口投与や耳内注射で行われます。
胆脂腫(コレステアトーマ)
乳様突起は中耳と連結しており、正常な状態では空気で満たされています。胆脂腫は鼓膜の穿孔部から皮膚が侵入し、真珠状の良性腫瘍が乳様突起骨内に増殖する疾患です。腫瘍は乳様突起だけでなく内耳や脳まで侵食することがあります。慢性的な乳様突起腔の感染が伴い、抗生物質だけでは治癒しにくくなることが多いです。その場合、慢性乳様突起炎と腫瘍を除去するために「乳様突起切除術(mastoidectomy)」が必要となります。
胸鎖乳突筋性頭痛
胸鎖乳突筋(SCM)は乳様突起から鎖骨・胸骨へと走る大きな筋肉です。筋肉の緊張や炎症が起こると、首や肩の痛みだけでなく、額、耳、頬、喉の痛み、協調運動障害、鼻水、目の涙、めまい、頭部の圧迫感や眼・頬・喉の痛みを伴う頭痛が生じます。これらは頚部の姿勢や筋緊張に起因することが多く、適切なリハビリやマッサージで緩和できます。
中耳炎と乳様突起炎の関係
中耳炎は乳様突起切除術の合併症としても起こり得ます。中耳炎は内耳の炎症で、細菌、ウイルス、真菌、または鼓膜穿孔が原因です。慢性中耳炎は持続的な耳漏、胆脂腫、乳様突起炎と関連し、主に経口抗生物質で治療されます。
まとめ
乳様突起は聴覚・平衡感覚に重要な役割を果たす骨です。異常が疑われた場合は早期に医師の診察を受け、炎症や感染が拡大しないようにすることが大切です。早期診断と適切な治療により、乳様突起切除術の必要性を減らすことが可能です。また、乳様突起の感染が放置されると中耳炎や胸鎖乳突筋性頭痛などの二次的な問題を引き起こすため、早めの対処が求められます。
