子どもの耳の感染症と対策
リスク要因
- 家族に耳感染症の既往がある場合、特に親や兄弟が同じ症状を経験していると、子どもが再発しやすくなる。
- 保育園や幼稚園など多数の子どもが集まる環境にいると、風邪やウイルスに繰り返しさらされリスクが上がる。
- 受動喫煙は耳の問題を引き起こす。両親のどちらかが喫煙している家庭では、子どもの感染症リスクが高まる。
- 哺乳瓶で飲ませる際に赤ちゃんを横に寝かせる姿勢は避けるべきである。
症状
- 中耳炎(急性中耳炎)の主な症状は発熱、イライラ、泣き止まない、食欲不振、睡眠障害、耳を触ったり引っ張ったりする行動である。
- 白色または黄色の膿が耳から出ることがある。圧が抜けて液体が排出されると痛みは軽減するが、炎症が続くと痛みが再発する。
- 風邪や上気道感染の直後に起こりやすく、鼓膜の裏に液体がたまることで圧がかかる。
治療
- 軽度の中耳炎は自然に改善することもあるが、細菌性の場合は抗生物質が必要になることが多い。
- 抗生物質に耐性を示す菌が増えており、特に最近抗生物質を使用した子どもや、同年代の子どもと接触した子どもで耐性が見られる。
- 耐性菌が疑われる場合、医師は複数の薬剤(通常の抗生物質+耐性菌用薬)を併用したり、投与期間を長くしたりすることがある。
- 耳の中の液体は数か月かけて自然に消失することがあるが、痛みが強い場合は医師が液体を排出する処置を行うこともある。
圧力平衡(PE)チューブ
- 再発性の中耳炎が続く子どもは、鼓膜に小さなチューブ(通気チューブ)を挿入する手術が検討される。
- チューブは通常1〜2年程度残り、その後自然に抜けるか外科的に除去される。
- 手術は全身麻酔下で行う外来手術で、術後に耳からの分泌や鼓膜穿孔などの合併症が起こることもある。
- 1年間に6回以上の中耳炎を繰り返す場合は、耳鼻咽喉科専門医への紹介が推奨される。
その他の症状
- 夏季に増える耳感染症、平衡感覚の低下、ふらつき、行動の微妙な変化も注意すべきサインである。
- 慢性的な中耳炎は聴力低下を招くことがある。子どもがテレビに近づいて座る、会話が聞き取りにくい、声が大きくなるなどの変化に気付いたらチェックが必要。
- めまいを訴えることも耳の問題のサインになるため、子どもに体調不良を言葉で伝えるよう促す。
予防
- 米国小児科学会のガイドラインによれば、耳感染症は主に生後3か月〜3歳までの子どもに多く見られる。
- 慢性耳炎の子どもは、風邪をひいている他の子どもとの接触を避ける。
- 授乳や哺乳瓶で飲ませる際は、赤ちゃんの頭を胸より高く保つ姿勢にすることで、ユースタキオ管への液体流入を防げる。
- 母乳は免疫を高め、乳幼児の耳感染症リスクを低減する。母乳で育てられた赤ちゃんは感染症が少ない。
- 生後1歳になる前におしゃぶりの使用をやめることが推奨される。フィンランドの研究では、6か月以降のおしゃぶり使用が耳感染症頻度を上げることが示された(2000年Pediatrics掲載)。
注意点
- 耳感染症の合併症は稀だが、聴力低下は言語発達に影響を与える可能性がある。
- 顔面神経麻痺、乳様突起炎(乳突炎)や鼓膜の瘢痕形成も起こり得る。乳突炎は中耳炎が放置された場合に発症しやすい。
- 特に6か月未満の乳児で頻繁に耳感染症が起こる場合は、速やかに小児科医に相談することが重要である。
