MRSAと栄養チューブのリスクとは?
概要
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、非常に感染力が強く致死率も高い細菌です。米国疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、2005年だけで94,360件の感染が確認され、そのうち約20%が死亡につながっています。特に病院や介護施設、診療所での感染拡大が問題となっています。
経路と装置
MRSAは、経口栄養チューブやカテーテルなどの医療機器を通じて体内に侵入します。栄養チューブは外部と胃を直接つなぐため、自然な防御機構を回避しやすく、感染リスクが高くなります。主なタイプは次のとおりです。
- 鼻胃管(NGチューブ):鼻腔から食道を通り胃に到達する。
- 経皮的内視鏡的胃瘻造設術(PEGチューブ):麻酔下で直接胃壁に設置する。
これらは、手術後の胃休止や嚥下障害、早産児の栄養補給など、経口摂取が困難な患者に使用されます。
MRSAの種類
MRSAには大きく分けて「院内MRSA」と「地域MRSA」の2種があります。院内MRSAは病院や介護施設内で患者間に拡散しやすく、皮膚や鼻腔に常在するスタフィロコッカスが手指や医療機器を介して感染します。地域MRSAは医療機関外でも感染し、スポーツや日常の皮膚接触でも広がります。
予防策
- 栄養チューブに触れる前に抗菌石鹸で手洗いを徹底する。
- チューブ周囲の創部や鼻腔を清潔に保つ。
- 寝具・衣類・タオルは定期的に洗濯し、清潔な状態を維持する。
- MRSAが確認された場合は、手袋・ガウン・マスクの着用、廃棄物の厳密管理を行う。
合併症
MRSAが血流に乗って全身へ拡散すると、敗血症、肺炎、心内膜炎、骨関節炎など重篤な合併症を引き起こします。栄養チューブ使用者では、細菌が胃や消化管全体へ急速に広がり、初期症状が出にくいことがあります。チューブ挿入部に膿瘍が形成されたり、高熱が最初のサインとなることもあります。
治療
抗生物質による治療が基本です。感染症専門医が適切な薬剤組み合わせを選択し、重症例では数週間にわたる長期治療が必要です。心臓弁や膿瘍の外科的除去が求められるケースもあります。
