炎症の化学メディエーターとは何か
炎症反応に関与する細胞が放出し、炎症過程を調節・増幅する分子を化学メディエーターと言います。主なメディエーターを以下に紹介します。
1. ヒスタミン
主に肥満細胞、好塩基球、血小板から放出されるヒスタミンは血管拡張、血管透過性亢進、平滑筋収縮を引き起こし、赤み・腫脹・疼痛といった炎症の典型的症状をもたらします。
2. プロスタグランジン
アラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ(COX)によって生成される脂質メディエーターです。血管拡張、血管透過性亢進、疼痛感作、発熱など多様な作用を示します。
3. ロイコトリエン
5-リポキシゲナーゼ経路でアラキドン酸から合成される脂質メディエーターで、血管透過性の増大、気道平滑筋の収縮、炎症細胞の走化性を促進します。
4. サイトカイン
TNF‑α、IL‑1、IL‑6 などの炎症性サイトカインは、他のメディエーターの産生を刺激し、炎症部位への免疫細胞の集積を促進して炎症を駆動します。
5. ケモカイン
好中球、単球、リンパ球などの白血球を炎症部位へ誘導する小さなタンパク質群です。細胞の遊走を方向付ける役割を担います。
6. 一酸化窒素(NO)
誘導型NO合成酵素(iNOS)により炎症刺激下で産生される気体分子です。血管拡張や血小板凝集抑制、病原体に対する防御作用があります。
7. 活性酸素種(ROS)
好中球やマクロファージが産生する酸化的分子で、微生物の殺菌に寄与しますが、過剰になると組織障害や慢性炎症を引き起こすリスクがあります。
8. エイコサノイド
アラキドン酸由来のシグナル分子全般を指し、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサンを含みます。血管拡張、疼痛、発熱など炎症の様々な側面を調節します。
以上のメディエーターが協調的に放出・相互作用し、炎症反応の複雑で多面的な特性を形作ります。
