透析の副作用を知ろう:患者が把握すべきポイント

透析は末期腎不全の患者にとって命を救う重要な治療ですが、さまざまな副作用が伴うことがあります。どのような症状が起こり得るか、またその対処法を知っておくことで、健康を維持し、生活の質を高めることができます。疑問や不安は必ず腎臓専門医や看護師に相談し、個々の状態に合わせた治療や予防策を受けましょう。

透析の主な種類

  • 血液透析(HD):血液透析器が血液中の老廃物と余分な水分を除去し、人工腎臓の役割を果たします。
  • 腹膜透析(PD):透析液を腹腔に注入し、腹膜を通して血液から老廃物を取り除きます。
  • 持続的腎代替療法(CRRT):急性腎障害や重症患者向けに、病院で使用される血液濾過システムです。

全ての透析法で最も頻繁に報告される症状は「疲労感」です。以下に、各透析法でよく見られる副作用と合併症をまとめました。

血液透析(HD)でよく起こる副作用

  • 低血圧(低血圧症):体液除去に伴い血圧が一時的に低下し、めまい、吐き気、冷や汗、視界のぼやけが現れます。
  • 筋肉痙攣:透析中のナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムの変動が原因です。
  • かゆみ:透析間の尿毒素蓄積で全身にかゆみが出ます。足のかゆみはむずむず脚症候群の前兆かもしれません。
  • 血管アクセスの血栓・狭窄:シャントやグラフトの血栓ができると腫れや血流低下、深部静脈血栓症のリスクが高まります。
  • 感染症:針刺しやトンネルカテーテル使用により、菌血症や敗血症のリスクが上がります。
  • その他:睡眠障害、全身倦怠感、稀に電解質異常から心停止に至ることもあります。

腹膜透析(PD)でよく起こる副作用

  • 腹膜炎:カテーテルの汚染が原因で起こる腹膜の細菌感染。腹痛、圧痛、膨満感、吐き気、下痢が主症状です。
  • 腹壁ヘルニア:透析液の持続的な圧力で腹壁が弱くなり、触知できる腫れができることがあります。
  • 血糖上昇:デキストロース含有の透析液は血糖値を上げやすく、糖尿病患者は特に注意が必要です。デキストロースフリーのイコデキストリン液が代替品です。
  • 体重増加:透析液のカロリーと運動量低下が組み合わさり、体重が増えることがあります。
  • メンタルヘルスの問題:長期にわたる治療は不安やうつを引き起こすことがあります。2018年の研究では、長期透析が高齢者の認知症リスク上昇と関連付けられました。

持続的腎代替療法(CRRT)での主な合併症

  • 回路内血栓:カテーテル機能不全により、体外回路で血栓が形成されやすくなります。
  • リン低下:連続濾過により血清リン濃度が低下することがあります。
  • 体温低下:回路を通すことで熱が奪われ、軽度の低体温になることがあります。
  • 低血圧:血液除去が急速に行われるため、血圧低下が起こりやすいです。

異常が疑われるときはすぐに医療チームへ連絡

以下の症状が現れたら、直ちに医療スタッフに報告してください。重篤な合併症のサインである可能性があります。

  • 息苦しさ
  • 意識混濁・集中困難
  • 腕や脚の痛み、発赤、腫脹
  • 発熱(101°F / 38°C 以上)
  • 意識喪失

これらは低血圧、血糖異常、血栓、重度感染症などを示すことがあり、緊急対応が必要です。

管理栄養士は、血圧・血糖・体重コントロールに役立つ食事指導を個別に提供します。

自宅でできる副作用軽減の実践策

  • アクセス部位を毎日チェックし、赤み・腫れ・分泌物がないか確認する。
  • ウォーキングやサイクリングなど、軽度から中程度の有酸素運動を定期的に行い、心血管機能と体重管理をサポートする。
  • 腎臓専門医と相談の上、透析回数を増やすことを検討する。研究では回数増加が低血圧や体重増加のリスク低減につながります。
  • 友人や家族との交流、趣味の時間を確保し、精神的なストレスを軽減する。

透析は多くの患者にとって生涯続く治療です。副作用は日常的に現れることがありますが、症状をしっかり観察し、医療チームとオープンにコミュニケーションを取ることで、快適に生活できる可能性が高まります。

主なポイントまとめ

  • 血液透析は低血圧、筋痙攣、かゆみ、アクセス部位感染、血栓が主な問題です。
  • 腹膜透析は腹膜炎、腹壁ヘルニア、血糖変動、体重増加に注意が必要です。
  • CRRTは回路血栓、リン低下、体温低下、低血圧が起こりやすいです。

新たな症状や悪化があれば、必ず医療提供者に伝えてください。適切な調整で安全に治療を続けられます。

腎臓病 - 関連記事