肛門・直腸瘻(ろう)の治療
肛門や直腸の腺が感染したり、裂傷(裂肛)や膿瘍ができると、周囲組織にトンネル(瘻管)が形成されることがあります。これらの瘻管は肛門周囲の皮膚や、まれに膀胱・膣へと開口し、膿や粪便が漏れ出すため、かゆみや痛み、異臭が生じます。時間が経つと瘻管は硬化し永久化し、感染が全身に拡大するリスクが高まります。放射線治療後やクローン病、直腸癌でも瘻管はよく見られます。
薬物療法
感染の程度や原因に応じて治療法が変わります。まずは抗生物質投与と、血行促進・炎症軽減を目的とした温浴(シッツバス)を1日3〜4回行います。
排膿が皮膚を刺激するため、保護クリーム(例:アロエベスタ、カルモセプチン)や使い捨てパッドで皮膚を保護します。
膣や膀胱への排便汚染を防ぐため、清潔を保ち、汚れたパッドはすぐに交換します。
軽度の手術・処置
クローン病などで瘻管が再発しやすい場合、根本的な切除は行わず、瘻管を開放して排膿を続けさせます。膿がたまった場合は外科医が瘻管を開いてドレナージします。
瘻管内に糸(セットン)や小さなドレーンを通し、開放状態を維持させる方法があります。
瘻管が小さく清潔な場合は、内部を縫合し、外部からフィブリンやコラーゲン接着剤で封鎖することもあります。
外科的治療
手術後に瘻管が再発する率は約20%ですが、外科的除去が最も確実な根治法です。瘻管は肛門括約筋を通ることが多く、手術で筋肉を損傷すると失禁のリスクがあります。
主な手術法は次のとおりです。
- 瘻孔切開術(フィストゥロトミー)―瘻管の内部開口部と内壁を切除。
- 瘻管全摘術(フィストゥレクトミー)―瘻管全体を除去。
- レーザーや電気外科で瘻管を焼灼する方法。
- 直腸壁からフラップを作り、瘻管の内部を覆って閉鎖するフラップ術。
- セットン法―括約筋の一部に糸やゴムバンドを通し、徐々に切断させて筋肉へのダメージを最小化します。
適切な治療選択は、瘻管の位置・大きさ・患者の基礎疾患に依存します。専門医と相談し、最適な治療計画を立てることが重要です。
