ロテノンとパーキンソン病の関係
概要
ロテノンは、ジャガイモウリ科などの植物の根から抽出される化学物質で、農薬や魚害除去剤として広く利用されています。2000 年の実験では、ロテノンを直接投与されたラットにパーキンソン病様の症状が出現したことが報告されています。
主な用途
- 魚害除去剤として、外来種や侵入魚の駆除に使用される。先住民は魚を捕獲するためにロテノンを利用した歴史がある。
- 米国・カナダでは環境保護の観点から使用が段階的に廃止されつつある。
- 鶏舎のダニ駆除にも利用されることがある。
毒性
- 世界保健機関(WHO)によると、ロテノンは人間や哺乳類に対して「中等度の毒性」を示し、魚類や昆虫に対しては致死的である。
- 大量摂取すると嘔吐を引き起こすが、致死例は稀である。
- 有機農業では 2005 年まで使用が許可されていたが、安全性への懸念から使用が禁止された。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は進行性の神経変性疾患で、主症状は振戦(震え)や歩行障害、筋固縮、発話障害などである。脳内でドーパミンを産生する神経細胞が減少することが原因とされ、かつては遺伝的要因が中心と考えられていたが、近年は環境要因の関与が指摘されている。
ロテノンとパーキンソン病の関係
- 2000 年に Nature Neuroscience に掲載された研究は、ロテノンがヒトのパーキンソン病を直接的に引き起こす証拠は示さなかったが、環境因子としての可能性を示唆した。
- エモリー大学の実験では、ロテノンを注射されたラットの半数がパーキンソン様症状を呈し、ドーパミン産生神経細胞の減少と脳内にα‑シヌクレインの沈着が確認された。
その他の健康影響
- ロテノンががんを誘発するかは未確定だが、ラットへの投与で乳腺腫瘍が報告された例がある。
- 内分泌撹乱物質や妊婦への影響は現時点では確認されていない。
- 大気中では数日で分解するが、水中では数か月間残留することがある。
