白質の縞模様とは何か?―多発性硬化症・てんかん・鉄代謝にみられる画像所見
多発性硬化症における下胚帯縞模様
白質の縞模様は、脳室表面に近い下胚帯(脳室周囲の組織)に垂直に走る1 mm 程度の細い線状構造です。これらは高速FLAIR(Fluid‑Attenuated Inversion Recovery)MRI で撮像した際に捉えられ、多発性硬化症(MS)患者の早期診断に有用です。従来のMRIでは、主に卵円形の白質病変(MSプラーク)が検出されますが、FLAIR 画像はこのような微細な縞模様を先に捉えることができます。
「ドット‑ダッシュ」サイン
胚帯の裏側に見られる不規則な線状構造は、少なくとも2つの「点(ドット)」が「線(ダッシュ)」で結ばれた形態を取ります。FLAIR 画像上で「点」は胚帯裏面の不規則な凹みで、直径は隣接する「ダッシュ」より大きく、「ダッシュ」は残存する正常胚帯の線です。このサインは胚帯に対して垂直ではなく、他のMS所見(例:下胚帯縞模様や卵円形病変)と区別できます。
側頭葉てんかんにみられる白質縞模様
側頭葉てんかん患者では、海馬領域に硬化が進行し、MRI で海馬溝の側壁に連続した白質帯が映し出されます。これは「海馬硬化」の所見とされ、側頭葉てんかんの診断的特徴として重要です。
鉄代謝に伴う白質縞模様の例
ラットの新生児期脳では、血管周囲に鉄陽性細胞が集積し、白質が縞模様状に見えることがあります。発達期の脳では鉄の取り込みと濃度が高く、正常な神経発達に不可欠です。研究は、オリゴデンドロサイトが脳内鉄恒常性の確立に中心的役割を果たすことを示しています。
