パーキンソン病に対する手術療法

米国では毎年約6万人がパーキンソン病と診断されます。根本的な治療法はなく、薬物療法で症状をコントロールしますが、症状が重い場合は手術が選択肢となります。

パーキンソン病の概要

パーキンソン病は運動系の慢性変性疾患で、ドーパミンを産生する脳細胞が徐々に死滅します。主な症状は四肢や顔面の震え、体幹の硬直、協調運動障害、バランス感覚の低下です。薬物療法が第一選択ですが、症状が薬に十分に反応しない場合に手術が検討されます。

手術の種類

病変切除(レジオン手術)

脳深部の特定部位(淡蒼球や視床)を熱で焼灼し、小さな病変を作ります。震えの原因となる神経回路を破壊することで、異常な運動を抑制します。手術は「パリドトミー」や「サラトミー」と呼ばれる部位により呼称が分かれます。

深部脳刺激(DBS)

病変切除が脳組織を永久に破壊するのに対し、DBS は可逆的な方法です。電極を脳内に埋め込み、バッテリー式の神経刺激装置で微弱な電流を送ります。これにより震えや硬直を引き起こす信号を抑制します。装置は後から調整・取り外しが可能です。

神経移植(ニューラル・グラフティング)

現在研究段階にある手法で、機能不全となったドーパミン産生細胞を新たな細胞で置換することを目指します。幹細胞や他の神経細胞が候補として検討されており、将来的な治療法として期待されています。

手術に伴うリスクと留意点

  • 病変切除では、性格変化、顔面麻痺、視覚障害、体重増加などの副作用が報告されています。
  • 深部脳刺激では、感染や出血といった外科的合併症が約3%の患者に発生し、術後うつ状態が見られることもあります。
  • 神経移植はまだ臨床試験段階のため、長期的な安全性や有効性は不明です。

手術はリスクとベネフィットを慎重に比較検討したうえで、専門医と十分に相談して決定することが重要です。

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