脳脊髄液穿刺(腰椎穿刺)とは何か
概要
脳脊髄液穿刺(腰椎穿刺、スパイナルタップ)は、腰部のくも膜下腔に針を挿入し、脳脊髄液(CSF)を採取または投薬する医療手技です。診断や治療に用いられます。
目的
診断目的
CSF を分析することで、髄膜炎や脳炎、くも膜下出血、Multiple Sclerosis などの感染症・出血・炎症性疾患を特定します。
治療目的
特定の感染症や中枢神経系疾患に対し、薬剤を直接 CSF に投与することがあります。
手順
1. 患者は側臥位で背中を丸めた胎児姿勢をとります。
2. 第3・第4腰椎間または第4・第5腰椎間の間で穿刺部位を決定します。
3. 消毒し、局所麻酔薬で皮膚と皮下組織を麻酔します。
4. スパイナル針をくも膜下腔まで進め、CSF を採取します。
5. 採取した CSF は検査用チューブに入れ、針を抜いた後は小さな包帯で止血します。
リスクと合併症
一般的に安全とされていますが、以下のリスクがあります。
- 頭痛(硬膜下穿刺後頭痛) – 数日で自然に改善することが多い。
- 穿刺部位の感染(髄膜炎) – 稀だが重篤。
- 出血や皮下血腫。
- 針による神経損傷 – まれに起こり得る。
検査項目と解釈
採取した CSF は検査室で以下の項目が評価されます。
- 細胞数:白血球や赤血球の増加は感染や出血を示唆。
- タンパク質濃度:上昇は炎症や疾患の指標。
- 糖濃度:低下は感染や特定の代謝異常を示す。
- 微生物学的検査:細菌・ウイルスなどの病原体同定。
- 化学分析:特定疾患のバイオマーカー測定。
禁忌と注意点
以下の状況では穿刺は避けられます。
- 重度の出血傾向や血小板減少症。
- 頭蓋内圧亢進が疑われる場合(穿刺で症状が悪化する恐れ)。
- 穿刺部位またはその近傍の感染。
- 皮膚の重篤な炎症。
まとめ
脳脊髄液穿刺は神経疾患の診断に不可欠な手技で、適切に実施すれば有用な情報が得られます。経験豊富な医療従事者が実施し、リスクを最小限に抑えることが重要です。
